トランペットのマウスピース遍歴を振り返る
先日、トランペットとコルネットのマウスピースを買いました。
(たぶん)11本目にあたるマウスピースですが、こうなった経緯について少し振り返ってみようと思います。
Bach 7C(13歳~)
誰でも最初に渡されるマウスピースです。
なんの疑問も持たない頃に吹いていたもので、Bachの中でもオールラウンダーモデルとして位置付けられているものです。
Bach 5C(14歳~)
吹奏楽部で楽器を吹いていると、ステップアップと称して重く、大きくなっていくのは往々にあることです。
木管楽器ならリードを硬く、金管楽器ならリム径を大きく、という具合に。
俺もその一人でした。
そろそろ7Cの次のステップ、ということで3Cと5Cを吹き比べて、差の少ない5Cを選びました。
Bach 3C(15歳~)
そして次のステップ。
もっと豊かな音が欲しい、良く鳴る大きなカップのマウスピース。
大辛のラーメンを制覇したら次は激辛を食べたくなるようなもの。
え、違う?
まあそんな感じで、このときは迷いなく3Cだけで5本ぐらい用意してもらって、違うような違わないような個体差の中から1本を選びました。
Bachメガトーン 1D(16歳~)
中学生から高校生になり、だんだん楽器が吹けるようになってくると、トランペットあるあるとしては高い音に憧れるようになります。
で、浅いマウスピースが気になってくる。
しかし浅いマウスピースはどうにも音が薄く、(吹奏楽的には)いい音色とはいい難い。
だから径がさらに大きい最大の1番で、浅いDカップを。
そしてメガトーンはバックボア(細い部分)も太いため、ものすごくたくさんの息が入ります。
高い音が出るのに、息が詰まらずたくさん入る!と感動し、これを買いました。
しかし、すぐに後悔して数か月で買い替えることになります。
ここが自分のマウスピース選びの折り返し地点。
ここまでは大きく、豊かに、散らかる方向に行ってたのが、ここからは小さくまとまる方向にシフトしていきます。
Bach 1 1/4C(16歳~)
メガトーン1Dを試奏していた時はあんなに良かったのに、いざ使っているとすごくいまいちでした。
リムが薄いうえに径が大きすぎて、すぐにバテる。
バックボアが太すぎて、音が開き汚くまとまらない。
試奏程度の味見ではよくわからない、ということが身に染みてわかりました。
そこで、リム径を小さくしてカップを深くした1 1/4Cにしました。
あとから知りましたが、結構オケなんかじゃ好んで使われるマウスピースだそうです。
Bach 1Cや1 1/2Cよりも落ち着いた音色があって、他のトランぺッターと合わせやすいことから選びました。
しかし、落ち着いていながらもかなり明るい音が出ます。3Cより明るい音になっているけれども、1Cほど暴れることがない、コントローラブルなマウスピースでした。
Bach 2C(GP)(19歳~)
大学に入って吹奏楽サークルに入ると、高校の時と雰囲気が違うことに気が付きます。
男女いるからか、全体の雰囲気かはわかりませんが、高校の時と比較して大学の方が音が良く混ざっています。悪く言えば個性や主張が弱い。
そんな環境の中では、1 1/4Cは少し浮く、という認識になってきたため、更におとなしい方向にもっていくことにしました。
ここで選んだBach 2Cは、まさに3Cと1 1/4Cの間という感じ。明るすぎず、明るくなさすぎず。
そしてこのときは金メッキ(ゴールドプレート、GP)も比較してみたんですが、GPの方が明るさを保ったまま、まろやかさが足された感じ。
これだ!と思って、2Cを即買いしました。
自分にとっては非常にいいマウスピースでした。
10年使ったし、先日別のを買ったけど、ソロとかオケなら今でも2Cを使いたいですね。
Bach 5C(29歳~)
そして先日買ったのが5C。
中学生の時に買ったはずなんですが、全く見当たらず結局新しく購入しました。
今ではOBバンドが吹奏楽の主戦場ですが、更にみんなが落ち着いた(体力が落ちた?)気がします。
なんか、2Cでも浮いているような気がする…
また、自分の価値観が変わったのも大きいです。
これまでは、自分らしい、トランペットらしい音色を第一に考えていました。
空高くからどこまでも遠くへ鳴り響く輝かしい音色。イメージはオレンジ~黄色~銀色。
全ての楽器の一段上にいるような、主人公的な、支配的な、そんなイメージでした。
それが最近では、音色の溶け込みへの重視が年々強くなっているように感じています。
明るさを残しつつ、まろやかでいて耳触りのいい音色。
力強く芯のある、気高いファンファーレと、女性の指のようなしなやかさを使い分けたい。
そう思って、もっとまろやかな音色を出せるマウスピースを考えました。
やはり小さいリム径。
3CはUカップのキャラクターが強く、どうしても底抜けの明るさが2Cと近いものを感じさせました。
その点5C。
まろやかさが足されつつも、明るさが残る、しなやかな音色になりました。
しかも、リム径が小さい分、体力も長持ちしやすい。
2Cと比較して、音量、高い音の出やすさ、跳躍のコントロール性は犠牲になりましたが、正直今の自分にはそこは少し余分に持っていると思っていたので、少しぐらいの犠牲は構いませんでした。
思えば、これまでオールラウンダーと口酸っぱく書いてきた割に、結構オケよりなマウスピースを使っていたと思います。
より吹奏楽らしいオールラウンダーな、バランスの取れた音に近づいたんじゃないでしょうか。
明るさは少し抑えて、大人な音になったと思います。
他にもトランペットやコルネットのマウスピースはいくつか持っているので、またまとめてみようと思います。