ロードバイクにおける上半身の使い方
ロードバイクを練習し始めて最初は、ペダリングの試行錯誤から始まりました。
本も読んだりしましたが、結局自分でからだの作りを調べて、どのように自転車の上で発揮するかを考えて漕いでいました。
半年ぐらいで、ある程度頭の中の理論と感覚が一致してきたので、ここに書き記しておこうかと思います。
体幹の筋肉が重要だと言われていますし、練習していて確かにそう思いました。
体幹の筋肉を意識するうえで重要なのは、筋肉(骨格筋)の働きには2種類あることを認識しておくことです。
ひとつは、関節を動かす働き。
もうひとつは、外力が関節を動かそうとするのを止める働き。
体を動かすだけではなく、体を止めるための筋肉。拮抗筋といういい方もします。
ロードバイクを乗るとき、これが非常に重要でした。
要所について、へたっぴな絵で説明していきます。
姿勢を保つ(体幹の筋肉全般)
ロードバイクは非常に前傾姿勢になりますが、その体重を支える(体が接触している)のはハンドル、ペダル、サドルの3点になっていて、この体重配分が大切になってきます。
簡単な話ですが、ハンドルをもって体重を手で支えたり、サドルに体重を預けるとペダルにかかる力はその分減ります。
しかしロードバイクは前傾姿勢。
背中(脊椎)は体重がかかっているので曲がろうとします。
その姿勢を保つためには、動き続けるペダルよりも、動かないハンドルかサドルに体重を預けるのが楽ですが、動き続けるペダルのみに体重をかけるためには脚の筋肉だけでなく、前傾姿勢を保てる脊椎周りの筋肉が必要になります。
当然背骨回りなので、曲がろうとする背中を伸ばす脊柱起立筋が重要なのはもちろん、胸郭ー骨盤に挟まれた不安定な腰椎を安定化するための、腹筋群が重要になってきます。
これらで必要になるのがまさに、体幹というやつですね。
プランクという筋トレがおすすめです。まあ調べれば山ほど出てきます。
ときどき続けて、数日で飽きて辞めてしまうのですが、続いている時は自転車にも影響が分かりやすく出ている気がします。
股関節を動かす(腸腰筋、腹直筋)
片足の重さは体重の約18.5%あります。体重60kgならおよそ11kg。
これがペダルを踏むとき踏んでいない側にかかっていると、踏む力が-11kgになるだけでなく、逆側のペダルに-11kgの力がかかり、理想的には-22kgのペダリングロスが生じます。
だから、自転車をこぐときは「踏んでいない側の足」をいかに持ち上げるかが非常に重要になってきます。
ちなみに「引き足」とも呼ばれたりしますが、別にペダルを持ち上げる力をかけるわけではないのでその名称はちょっと違うと思っています。
腹筋運動は腰椎の屈曲運動だけでなく、股関節の屈曲運動時にも筋肉の緊張があります。
腹筋運動の絵をかいたらわかりやすいんじゃないでしょうか。
これって、自転車を漕ぐときに似てませんか?
自転車は片足ずつですが、足を持ち上げる動作には腸腰筋が主体となって働きます。
腸腰筋。聞きなれないですが、ビキニライン?ち○この両脇に走っている筋肉です。
トレーニングは足を持ち上げるスタイルの腹筋がおすすめです。
背筋群(広背筋、脊柱起立筋)
背筋は脊椎を曲げるだけでなく、特に広背筋を中心に「肩を後ろに引く(肩甲骨同士を近づける)」働きをします。
この動きは、大きな加速を得るときに重要になってきます。
肩を後ろに引いて何かを引っ張るとき、反力がかかります。
背筋の筋力測定を考えてもらえればわかりやすいかと思います。
バーを引いたとき、背筋で入れた力の反力は足にかかってきます。
あれ、これも自転車に似ているような?
そう、バーはハンドル、ハンドルを引いた力をペダルに伝えることができるということです。
成人男性の背筋力は140kg程度ですから、背筋を使えば体重に加えて140kgをペダルに乗せられるわけです。
体重60kgなら、背筋を全力で使えれば理想的には200kgの力をペダルにかけられるわけですよね。3倍界王拳!って感じですか。
ただ、このとき膝や股関節が力に負けないように、拮抗筋である足にも大きな負担がかかることから、長時間は使えない力になります。
主に加速の時に使う力です。
さらにこれができてくると、胴体から離れた部分の筋肉も連動させていきます。
肩(肘を後ろに引く力)、腕(肘を曲げる力)を背筋が作り出すハンドルを引く力に乗せることができるようになってくると、更にハンドルを引く力が増してきます。
上半身すべての力を使って加速する。しかし、足にもその分大きな負担がかかるため長時間は使えない。
これがスプリント加速というやつですね。
またこのとき、肩が後ろに(胸が前に)動いてしまうと、せっかく引いた力が逃げてしまいます。このときに必要なのが、拮抗筋としての大胸筋です。
ハンドルを引きながら体が前に出ないように保つ、言い換えればハンドルを引く力をロスなくペダルに伝えるために、大胸筋もとても重要なのです。
腹斜筋(内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋)
腹斜筋は腰(腰椎)の側屈、回転を司ります。
自転車の上では、拮抗筋としてとても重要になってきます。
つまり、これも姿勢を保つ働きです。
ペダルを踏むとき、腰を重心として上半身は「踏んでいない側」に傾こうとします。
これは少し説明しづらいんですが、理系の人はモーメントと言えばわかると思います。
で、上半身が「踏んでいない側」に偏ると、ペダルにかけたいはずの体重が、ペダルから逃げて行ってしまいます。
上半身が逃げる向きと逆側に力をかけるのが、腹斜筋です。
図にしたらこんな感じ。
これができていないと、自転車をこいでいるとき、上半身が左右にゆらゆらします。
後ろから見れば一発で、その人ができているかどうかわかります。
そんなに大きな力でもないので、鍛えなくても意識すればできる程度だとは思いますが。
最後に:大事なこと
大事だと思うのは、これを知ることではなく、これが漕いでるときに「あ、これかあ!」ってわかることだと思います。
知識と感覚がリンクするまで、あれやこれやと試してみるのがいいと思います。
ちなみに自分は、練習で広背筋の使い方がわかった時に感動しました。
感覚を確かめようと、改めて片手運転しながら思いっきりハンドルを引いたら思いっきりハンドルが回って激しく落車しました(笑)
練習の際は気をつけよう。