吹奏楽部・吹奏楽サークルの男女比について考えてみる
大学で吹奏楽サークルに入って
そういえば10年前に大学に入学して、不思議に思ったことがあります。
それは、吹奏楽サークルの男女比がほぼ1:1だったこと。
中高は男子校で吹奏楽部に入ったから、男女比は10:0でした。
大学に入ると、きっと女性の方が多いんだろうと思って(こっそりとわくわくして)いたのですが、意外とそんなことはなかった。
時は経って、今はOBバンドにいますが、今でも男女比は1:1ぐらいをキープしています。
さらに年を取ってくると、男の方が多くなる…のかどうかは知りませんが、年齢によって男女比は変わっているのではないか?と思い、ちょっと考えてみることにしました。
小中高の吹奏楽における男女比
小学校にいた頃は、クラブ活動でマーチングバンドがありました。
確か、全員女の子だった。
しかも、女の子は半分以上は入ってたような気がします。
自分は歌を歌うのが好きで楽器にも少しだけ興味はあったけど、とても男が入れる場所ではなかったのを覚えています。
そして小学校で楽器をやっていた女の子の大半は、中学に入って吹奏楽部に入ったようでした。
一方、大学に入ってから久しぶりに開かれた小学校の同窓会では、女の子全員、中学か高校で吹奏楽部をやめてしまったようでした。
トランペットやってた子と話せるのも少し楽しみにしていただけに、その時は少し残念に感じました(笑)
加えて中高の吹奏楽部では、大学の友達に聞くと、やはり多くは女性が多いようでした。
男子校からするとそういった友達が羨ましくて根掘り葉掘りそのハーレム状態について質問するんですが、決まって「そんなにいいもんじゃないよ」と返されていました。
やはりでも、小中高では女性が多い、というのは間違っていないようです。
年代による男女比の変化
上記のことについて、実際のデータが欲しいと思って調べてみると、いくつか出てきます。
そして同時に、昔の吹奏楽部は逆で男ばかりだった、との話も出てきます。
それはいつ変わったのか。なぜ変わったのか。
時系列的な変化はいくつかの考察がされており、論文などもネットを通してみることができます。
詳細は論文を読んでもらえばいいと思いますが、簡単にまとめると下のような感じです。
- 日本の吹奏楽部は戦後、昭和20~30年(1940年代)から始まった。
- 1960年頃までは、ほとんどが男性で構成され、「吹奏楽=男のやるもの」だった。
- 1960年代に、「受験激化による男子の部活離れ」「ギターブーム」「東京オリンピックによる運動部ブーム」によって、男の吹奏楽部員が減っていった。
- 同時に、女子の高校進学率の上昇、男女の社会通念の希薄化により、女性の吹奏楽部員が増加した。
- 1970年にはほとんど男女比1:1になり、更に男女比の逆転が進む。現在では男女比はおよそ1:9になっている。
原因として挙がっているものはいずれも、さもありなんと頷きたくなるものばかりですが、その中でもロックによるギターブームは大きいんじゃないか、と思います。
1970年には1:1だった男女比が、なぜ1:9までに至ったかを考えると、やはり「男女の社会通念」の変化だと思います。
つまり、最初は「吹奏楽=男子のやるもの」だったのが、1970年に壊れてから現在までに、「吹奏楽=女子のやるもの」に再構築されたんじゃないでしょうか。
流れとしては、男女比が女性優位に傾いてくると、さらに男は恥ずかしくて吹奏楽部に入りにくくなる、という循環が続いた結果、ロックブームも相まって「男はギターで軽音楽、女は管楽器でクラシック」の模式図が定着していったんじゃないかと考えています。
ただ、これらの文献やネットの情報では、「年代による男女比の変化」に関する考察はされていても「年齢による男女比の変化」に言及されている情報はありませんでした。
中高では女子90%なのに、なぜ大学では50%ぐらいまで低下するんだろう…
年齢による男女比の変化
やはり少年少女にとって、「男はギターを嗜み、女は管楽器を嗜むもの」という概念が定着しているのではないかと思います。
少なくとも、俺を含めた数割の中学男子が、ロックに憧れてギターを手に取っています。
そして嗜みだからこそ、習い事としての水泳、ピアノや習字と同じように、成長とともにやらなくなる人が多いんじゃないか、と思いました。
幼いころにやっていた習い事は、大人になってもやっているとは限りません。
むしろ、やめてしまう人の方が多いんじゃないかと思います。
ギターも同じで、中学にギター買った友達のどれだけが今まで続けているか。
そしてここからがポイントですが、大学ぐらいになるとそういった「ライトにやっていたい層」が減り、結局男女比1:1というところに落ち着くんじゃないかと思っています。
つまり「何かに真面目に取り組もうと思ったときに、男女は関係ない」ということです。
社会通念的に「吹奏楽部は女がやるもの」となっている今では、女子は周りに流されて吹奏楽部に入るし、男子は恥ずかしくて吹奏楽部に入りません。
それが、「意外と面白くなかった・もう飽きた」と多くの女性が吹奏楽から離れ、「やっぱり音楽を続けていたい」と端から意識の高い男性が吹奏楽に残る。
結局残るのは「やっぱり音楽やりたい」と思っている人たち。
そしてその集まりが大学の吹奏楽サークル、という図式です。
ところでネットで見つけた情報で、興味深い内容がありました。
「コンクールなどが強い中高の吹奏楽部ほど、男女比が1:1に近く、逆に緩い吹奏楽部は、女性が多い傾向に強い」というものです。
確かに、と納得するところがあります。
周りの共学校を見渡すと、そういう傾向にあるような気がする。
統計はないし思い込みかもしれませんけど、それが事実と仮定して考察してみます。
軍楽隊に端を発する日本の吹奏楽界は、特に昔は軍隊式でスパルタな練習だったんじゃないでしょうか。
それだときっと、女性は入れなかったんじゃないかと思います。
そしてその名残はどこか今でも引きずっているところがあり、吹奏楽というと「文化部にして体育会系のようだ」と言われることもある、厳しい雰囲気があります。
強いところは、今でも軍楽隊要素が残っているところが多いんじゃないでしょうか。
熱血的指導、汗と涙、気合と根性。
コンクールに勝つために練習する。
そういうところだと、中高の少年少女であっても、上記した「やっぱり音楽やりたい」層しか生き残れない、とも考えられますかね。
うん、なんかすっきりした。
男はギター、女は管楽器。そんな社会通念の構図があるような気がします。
そしてそれは、年齢とともに変化して、大人になるごろには男女が均されることで、少なくとも吹奏楽サークルの男女比は中高のそれと変化する。
誰か、「コンクールなどが強い中高の吹奏楽部ほど、男女比が1:1に近く、逆に緩い吹奏楽部は、女性が多い傾向に強い」のかどうか統計を取ってくれないかなあ。