隆の導火線

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ほとんどトランペットかロードバイク、料理の話。

ロータリートランペット購入記3 ~開封・演奏編~

シリーズ最終回です!

 

ryumour.hatenadiary.jp

 

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いざ、開封の儀!

 川崎で受取り、抱えて持って帰ってきました。

じゃん!

 

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箱はSchagerl(シャーゲル)のロゴが書いてあります。

あれでも、よく見ると箱にMADE IN TAIWANって書いてある…?

 

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よく見るとサックスの箱でした。

とりあえず送るために使っただけっぽいですね、ふう。

剥がし方雑か!

紛らわしいな!

 

さ、気を取り直していざ開封です。

プチプチに覆われていますね。

 

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じゃじゃん!

 

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付属品は楽器の袋とオイルと店のオリジナルクロス。

楽器の袋は柔らかめのビロード調で触ると気持ちいいです(笑)

オイルはヘットマンのリンケージオイル#11。

ローターオイルもいるはずなので、買い足さないと…

 

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美しい…

ロータリートランペットってなんかこう、芸術品、って感じがありますね。

その中でもシャーゲルは特にきれい…

ん?わからない?

美しいのは良いんですが、トリガーが買った店のHPに載っていたものと全然違いました…

 

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スライドトリガーがレバー式でなく、ボタン式になってました。

見積には1,3番連動とも書いてあったけど、これは3番のみスライドです。

この辺は買うときに写真とかを貰わなかったこっちのミスですかねー。

レバー式の方が好きなんですけどねー…ちょっと残念。

1,3番連動は正直どっちでもいいかな。

ストロークが短くなるのは良いけど、1番管動くと右手親指にあたって邪魔だし。

 

ま、どっちでもいいか!

…音さえ良ければ…な!

 

演奏してみる

結論から言えば、満足できる楽器でした。

 

これまでに吹いたやつとの比較だと、Kuhnだとベルリンモデルよりドレスデンモデルの方に近いけど、中高音域がこっちの方が華やかさがある感じがします。

C管に比べれば音は明るくないが、ふくよかさの中に明るさがあるサウンド

ブリリアントという言葉がふさわしい。

 

でもオーバーラオホとかヴォトゥルーバに比べると、明るさの種類が違う感じです。

それらのウィーン系の楽器?は華やかな明るい音色(パリッとドライな感じさえある)なのに対して、こっちは全体的にしっとりとした中に艶感のある音色(ちょっと暗いとも言う)がでます。こんな音が欲しかったんです。

 

さらに日本で吹いたシャーゲルの(ヘビーではない)モデルよりは、いくぶんか音の深みがある感じがします。暗いっていうか、暖かみがあるという感じ…?

この辺は、試奏してないけどヘビーならこんな感じだといいな、っていう想定にばっちりでした!

よき!!

 

楽器は少し重いと思います。

 

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ベルリンモデル特有の、バルブケーシングの両脇がモリッと膨らんだヘビーな仕様になってるんですね。

写真でわかりますかね?

さらにチューニングスライドもオクターブキーが3つも付いていて重めだし。

(管厚は0.5mmだったはずだけど、正直わからん…測れないけど0.45かもしれない…)

まあ全体的にちょっと重い気がする。

  

ただし、吹奏感はめちゃめちゃ軽い。めっちゃ吹きやすいです。

出てくる音とのギャップが凄いです。

軽く吹いているのに、音は深く鳴ってるっていうね。

これは想定外の嬉しい誤算ですね。

 

とはいえロータリーなだけあって、楽器に息を入れ込んでいくように吹くと太く鳴る感じがピストンのB管と違いますね。

奥で鳴らす感じというか、少し遠い場所にピークを持ってくるというか、楽器に息を満たすような感じというか。

ピストンだと鳴らしていくときは息を速くして音を遠くに飛ばしていくイメージなんですが、こっちはもっと空間を意識して包んでいくイメージですかね。

凄い言葉にしづらい感覚なんですが、この感覚を身につけて慣れていく必要があるな、と感じました。

 

あ、あとロータリーワークは今まで試した中で一番軽いです!

ロータリートランペットというとロータリーの動きがピストンに比べて重くて(特に戻りが遅くて)、速指が苦手な印象を持ってたけど、逆です。

ピストンに比べてストロークが短く、なおかつ切り替わりがはっきりとしているため、動きが速くなってもかなりカッチリとしたスラーの音移動が可能です。少し慣れればピストンより指回りそう。

これも想定外、結構衝撃でした。

一時期からシャーゲルはロータリー部分を自前で製造することにしたようで、それは賛否両論あったみたいですが、少なくとも運指は軽くなったそうです。あとは長期使ってみてどうかってところですかね。

 

追記

やっぱり思ったより音が暗くないので、楽器屋に改めて「これって0.5って送ってきたけど、0.45じゃない?もっかい確認してみて…」と聞いたところ、「ごめんごめん、0.45だったわ!でも値段同じだから大丈夫だよ!」って返事来ました。

いやそういう問題じゃないんだけどな…

音が暗いと感じるのは、きっと試奏したのがC管で、こっちがB管だからだと思います。

今となっては0.5だと暗すぎたんじゃないかと思っています。

ブリリアントな音も出せて、明るめの曲でもこれで行けるので、結果よかったかも。

 

キイがたくさんついたチューニングスライドも買ったけど

 前回の記事で書いた通り、「extra water key」がついたチューニング管いる?と聞かれて二つ返事で購入することにしました。

 

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片方はいわゆるつば抜き「ウォーターキイ」のみ、もう片方はそれが合計で3つついてます。

これはピストンのトランペットにはない機構ですね。

 

なぜ買ったかというと、安かったから以前チューニング管を変えて試奏する機会があり、チューニング管で音色に大きな変化があり、「extra water key」がついたチューニング管の方が好みだったからです。

つば抜きのみのシンプルなモデルでは、音抜けの良い明るいサウンドだったのに対して、3つキイがついているものは音に深みがある音色になりました。

恐らくはその重量の違いによる響きの変化が大きかろうとは思うのですが、深い音色の方が出る思いチューニング管の方が好みでした。

 

してこの「extra water key」ですが、オクターブキイまたはレジスターキイと呼ばれる場合があるようです。

本来は高い音を出すときの補助として使われるもので、一般的にはつば抜きがB♭キー、隣にあるのがAキー、一番上のがHiCキーと呼ばれています。もう一つ、更に隣にHキーなるものが着く場合がありますが、今回の楽器にはついていません。

 

B♭キーはいわゆるシ♭が当たりやすくなり、HiCキーはいわゆる上のド(B管ならハイベー、C管ならハイツェー)が当たりやすくなり、Aキーはいわゆるラの音が当たりやすくなる、との認識でいます。

 

とりあえずここから先は今回購入したB管の話で、キイ名は変えませんが、音はドイツ音名実音表記で書きますね。

C管なら一音上の話になります。

 

某日本のロータリートランペット屋さんにはオクターブキーの運指表があり、それによると下記の運指になるそう。

B♭キー:As(五線上第2間)、Hi-C

Cキー:Ges(五線上第1線)、Hi-B

Aキー:G(五線上第1線)、Hi-H

 

俺が買ったSchagerlのページにも書いてあります。

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http://news.schagerl.com/kategorie/artikelprospekte/info_extrakeys_2013.pdf

 

これによれば、B♭キーはウォーターキイとも、Cキーはウィーンキーともいうみたいですね。あとはドイツ語だとクラッペンともいうみたいです。

 

当たり前ですけど、オクターブキーのみではその音は出ません。

普通の運指に加えてオクターブキーを押すことで効果があるとのこと。

 

パッと見で思うのは、音列が運指と関係あるのかな、ってところです。

つまり、B♭キーは1番管使用時、Aキーは1・2番管(3番管)使用時、Cキーは2・3番使用時のキーかなと思うわけです。

 

吹いた感じですが、特にAキーでG(3番管使用)を吹いたときと、CキーでGesを吹いたときに効果を顕著に感じました。

特にこの辺の音域で管長が長くなるGやGesの場合、抵抗が増えてアタックがクリアになりにくい(雑音が入りやすい)と感じているんですよね。ひいてはそれが外れやすさに繋がってるという感じ。

それがこのオクターブキーを使うと、非常に抵抗が少なくなってすんなりと鳴る感じになります。まるで開放運指で吹いているかのような吹きやすさで、アタックに雑音が入りにくくなります。まあ外しにくくもなってる…かも?

あとは音程が少し上がるため、音程がぶら下がる心配がなくなります。この辺は低めに出ちゃったときに上に補正するのが大変なんで、これも楽に吹ける要因ですね。

 

B♭キーのAs、Hi-Cについては、もともと管長がそれほど長くないので雑音が入りやすい音とは思ってません。どちらかというと、音のツボが広くなって他の倍音に行きにくく鳴る感じ。1番で出るFis、Hi-B、Hi-Dのツボは狭くなって、代わりにAs、Hi-C、Hi-Esのツボが広がる感じです。面白い。

 

でも一番メインっぽい、CキーでのHi-Bはよくわかりません(笑)

2,3番で取れば当たりやすくなるのかな?と思うけど、当然開放の方が吹きやすいし。

そもそもBだから開放での音程も悪くないし、外しやすい音でもないし…

Gesキーに名前を改めた方が良いのでは?

この辺は今度まわりの人に聞いてみようかな。

 

(追記)

しばらく練習してると、Hi-Bの当て方が分かってきました。思っていたところよりも下の方にツボがあったというか、オクターブキーない時よりも低めに(ちょっと違うんだけど)あてにいくと良く当たることが分かりました。やっぱ慣れが大事ですね。

 

マウスピースはどれがいいの?

マウスピース選びは難航しそう。

シャーゲルはYamaha・Bachシャンクなので、基本的にはピストン用と同じマウスピースが使えます。

逆に一般的にロータリー用と呼ばれるブレゼルマイヤーやシュミットなんかはシャンクが合わないのでしょうか。

 

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手持ちのマウスピースでいろいろ試しているところです。

まずはロータリー用として買ったYamahaの15E4で演奏。

深いマウスピースに独特のコツがいりますが、中低音域はさすがの重厚感でなってくれます。

でも特に上のF以上ぐらいの中高音域になると、音の芯がボケてきてきれいに響かない感じがある。

 

まえRicco Kuhnを吹いていた時はこんなことはなかったんですが…

Kuhnの時は15E4がベストだと思ったけど、こっちはそうでもないかも…?

 

ということで、ピストン用の手持ちから色々と比較。

Bachの2Cだと音が明るすぎて薄くなり、ロータリーのキャラクターが薄れる。

でもティルツの1-1/2Cの方は音がそこそこあってる感じがする…?

片っ端から試すと、意外や意外。Bachの5C、7Cの相性が良い。

中低音域のふくよかさはYAMAHA15E4、いわゆるロータリー用のマウスピースを使ったときと比べると薄いんですが、ロータリー用マウスピースではボケがちだった高音域でもロータリーらしい音色がでます。中高音域はピッと吹けば明るめ華やかな音が出るし、太く吹けば柔らかい音も出せて、この辺の音域の音色の選択肢が広いと感じます。

オーケストラのトゥッティでffで鳴らしていくときに表現できる幅が広い、ってのは楽器としてかなりレベルが高いところにありますねー。

それに特に5Cはピストン用として慣れたマウスピースなので吹奏感はもちろん良いです。加えてリムが小さいので持久性も非常に優れていていいと思います。

 

ちなみにどのマウスピースでも音程は非常に良かったです。

ツボが吹きなれたピストンと違うので、少し音程が崩れることもありますが、楽器が鳴るポイントでロングトーンした場合はおおむね合格範囲。

下のCが3番管抜かないと高かったり、上のDがぶら下がり気味になるのはまあピストンでもままあることですし、一般的なB管という感じ。

 

にしても、5Cの何が良かったんだろう…?

普通はロータリーはリムが大きい方がいい、とかカップが深い方がいい、とかスロートやバックボアが太い方がいい、なんて言いますが、Bachの5Cはどれからも結構外れているにも関わらず、相性がいいと思いました。

もう少し暖かい(暗い)音色に寄せた方がよりロータリーらしくなる気もするんですが、どこを変えればよいのかが見当ついてません。

 

やっぱり俺は3Cから5Cぐらいの中庸な(大きくない)リム径が向いてるのかと最近は思ってるわけですが、ロータリー用だとこの辺のマウスピースの選択肢が少ないんですよね。

そもそもブレゼルマイヤーもシュミットも良く知らんから、あるのかどうかも良くわからないけど…

あとはシルキーMOSTの3,4番とか?

JKとかBachのカスタムも選択肢に入るかな…

 

とりあえずBachの5番系統(5A、5B、5MV、5V)あたりで比較検証してみようかな。 

リム径はあんまり大きくせずにロータリーらしさを少し増せるといいな。

 

ゆっくり付き合って、ベストな音を探していきます。

とりあえず5Cで慣らしてみよう。

全然一般的じゃない気がするので、型番だけ言うと否定派多そうだけど。

 

(追記)

数週間吹いてみて、5Cも相変わらず悪くないんですが、15E4でもツボが分かってきました。

やっぱりピストンで15E4を吹いているときとは全然違う、 楽器に「合っている」感じがあります。

5Cはロータリーでもピストンに近いところに音のツボがあるんですが、15E4だとツボの位置が全然違う。とはいえ、5Cで一度慣れると楽器のクセもわかってくるもので、15E4に変えても楽器のクセを折り込んで考えられるようになるため、数日間吹くとポイントが分かってきます。うまく言語化できないのが悔しいところですが。

15E4は確かに深いマウスピースですが、思ったほど暗い音にはならないことが分かりました。どちらかというと、太い音という感じですかね。中低音部では暗く深い音も出せますが、明るいバリッとした音も出せます。5Cではこうはいかず、暗い音が出せません。

15E4は当然リム径は5Cより大きい(2C相当らしい)のもあって、5Cよりは持久力に問題があります。今度吹くチャイコの悲愴を吹ききるのがギリギリかなーという感じです。3楽章が大変なのよね、あれ。5Cなら問題ないんですが、15E4だとちょっと大変。もう少し慣れれば余裕持って吹けそうかな。

 

トランペットは楽器の持ち替えに際して、同じマウスピースが使えることを重視したり、近しいマウスピースを使いたがる人が多い印象にありますが、俺はどちらかというと、楽器が変わるとマウスピースもガラッと変わって欲しい派です。

逆にマウスピースが同じまま別のことを吹こうとすると、中途半端になっちゃう感じというか。

ま、吹ければ正直なんでもいいんだけど(笑)

 

かぞくが増えたよ!

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これからたくさん吹いて、自分の一部になるように付き合っていきたいと思います。

シャーゲルさん、これからよろしくね!

 

それと今回初めてトランペットを個人輸入しました。

リスクもありますがロータリートランペットは海外ではびっくりするぐらい安いのでお勧めです。

特にB管ロータリーの購入を考えている方はぜひ検討してみては。