隆の導火線

隆の導火線

ほとんどトランペットかロードバイク、料理の話。

忙しくなる


そういえば昨日研究室に行った理由ですが、引越しのためではありません。
まあ後日引越しのために行きますが。


昨日の日記で、4月から4年生の弟子がつくことになる、と書きました。
要はその準備です。


俺が今作っている化合物はある天然物の一部で、その部分構造です。
プラモデルで言うなら、上半身を作っているようなものです。


下半身はどうしたかというと、今まである先輩が作っていました。
その先輩が今年で卒業だったので、新しい4年生が後釜になるとそういうことですな。


うちの研究室で創っているプラモデルは本当に難しいものが多くて、だいたい一世代では作れません。
ある人がここまで作って、次の世代に託して、それを繰り返してやっとできるものです。
簡単な合成研なら小さい飛行機なのが、うちではでかい戦艦プラモデルを作ってる、という感じでしょうか。
最も長いので、20年かけてまだできてないってのもあります。凄いね。


ちなみに俺は二代目で、下半身部分の人は初代だったと。


で、最近そのプラモデルが他の人によって作られてしまったのですよ。
それがどうしたという人もいると思いますが、学術的には大問題で。
誰かが作ったものを同じやり方で作っても、全く価値がない。
初めて作るか、誰もやったことのない面白い作り方じゃないと駄目なんです。


でもって、上半身部分、つまり俺が作ってる方はその先達とは違う作り方をしているので、このままでなんとか価値がある研究なのですが。
下半身部分の作り方がほとんど被ってました。


これはヤバいと。
作り方を変えなきゃいけない。


ということで、その新しい合成方法の考案が俺に託されたわけです。


なかなか説明が難しいのですが、これは本当に大変なことなんです。
プラモデルならパーツを組み立てるだけでいいですが、有機化合物はそのパーツから作らないといけない。
かと言って適当にくみ上げればよいのではなく、全てのパーツがしっかりはまるような設計をしないといけない。


その設計、有機化学では逆合成といいますが、本当に難しい。
合成の最も頭を使う部分であり、場所によっては教授が全部考えるところもあるぐらいです。
それを俺がやることに。


去年俺の同期が逆合成を考えていましたが、3か月かかったそうです。
毎日涙目で調べ物をして、沈んでたことを思い出します。


それを…


「四月までに、全く新しい方法を考え出してください」
なんて言われました。


震災の影響で4年生が来るのは4月10日あたりになりそうなので、それに間に合えばいいとのことですが、なかなか酷ですね。


正直就活やってる暇あんの?ってぐらいです。
これはまずい。
有機合成やってる人じゃないとこの大変さはわかりにくいかと思いますが…


しかしですね。


こう忙しくなってくると燃えてくるのもまた事実。
ああ、やっぱり俺って忙しいの好きなんだなあ。


やってやろうじゃないか。


あ、今日の写真は研究室での昼ごはんの風景。
だいたいインスタントで済ませます。
ジュースがあるときは豪華(笑)
大抵は水か麦茶を飲んでます。
みんながこうってわけじゃないですよ!


そして、カップめんの隣にあるのは、たぶんカビ。
勝手に机に置かれてましたが、気にせずここでご飯食べます。


全く気になりません。