理系ならではの遊び
先日、「ねるねるねるね」を買ってみたんです。
コンビニにあったので、懐かしくなってしまいまして。
研究室でおやつとして、作って食べてみたわけです。
こうしてねればねるほど、色が変わって…
こうしてつけて食べると…
テーレッテレー♪
うまい!
…ん?
あんまりうまくない…
むしろ、一口で飽きる味。
なんていうんですかね、短調なんですよ。
確かに混ぜてる時は楽しかったのにね、食べる時はそんなに楽しくないっていうね。
もうちょっと改善の余地があるね。
まあまあまあ。
そこで、とりあえず理系として「何故混ぜると色が変わるのか」が知りたくなるわけですよ。
そこで、成分表示を見てみる。
「アントシアニン」が入っているではないか。
アントシアニンはうちの研究室でも使っている色素の一つで、液性によって色が変わるんですよね。
酸性で赤に、塩基性で青になるわけです。
ふむふむ。
ねればねるほど、青が赤に変わっていく理由。
それは、塩基性のものが酸性の粉を入れることで、アントシアニンの発色が変わる事なわけです。
そしてよーくよく見ると、最初の粉には「重曹」が、後の粉には「クエン酸」が入っています。
あとは、「卵白粉」も入っている…
はっ!
つまり、そういうことか!
謎はすべて解けた!
初めは重曹とアントシアニンを入れている水があるとしよう。
これは、重曹つまり炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)のせいで塩基性になっており、青色を呈している。
そこに「2番の粉」つまり、クエン酸と卵白粉が入った粉を入れて混ぜる。
もちろんクエン酸は酸性なわけで、塩基性の液は中和され、やがて酸性へと変化する。
酸性になる事でアントシアニンは赤くなるわけだ。
それが「ねればねるほど色が変わって」の正体だ。
そして、クエン酸と重曹の中和によって発生するもの、それはクエン酸ナトリウムと
炭酸ガスだ!
そう、重曹はベーキングパウダーの通称で知られる通り、ふくらし粉としても使われる。
酸と反応することでガスを発生するからだ。
ねるねるねるね(以下ねるねる)の溶液は、中和されることでガスが発生し、泡が出てくる。
さらに卵白粉のタンパク質としての界面活性効果により泡は固定され、消えにくくなる。
要はメレンゲ状になるわけだ。
そうして、あの少し酸味のある、甘い泡としての「ねるねる」が完成するッ!
さらに!!
研究室で同じ現象を再現することで、ねるねるは何度でも甦るのだ!!!!
クエン酸はちょっと遠いところにあったので「塩酸」で代用。
飽和重曹水は手元にあった。
食べかけの「ねるねる」に重曹水を入れると!
再び青色に戻った!
そして、さらに塩酸水を加えると!
泡を出しながら赤くなった!
これはすごい。
名付けて「無限ねるねる(ねるね)」。
しかし一つ欠点があって。
クエン酸を使わず、重曹と塩酸の中和で得られるものは…
炭酸ガスと、塩化ナトリウム。
つまり、塩だ!
ということは、これを繰り返すと、しょっぱくなるわけだ。
うん、食べてみたけど、やっぱりおいしくないね。
しかも水っぽいし。
やっぱり食べ物で遊ぶのはよくないわ。
知的好奇心は満たされたけれども。
祭りの後。