ハイノートヒッターになった日
2019年12月21日、俺はハイノートヒッターになりました。
これまでの変遷
昔から高い音は得意な方だったのではないかと思います。
ご多分に漏れず、昔から高い音に憧れ、練習を重ねてきたクチです。
中学1年生で楽器を始めて、中学2年生で初めてハイベーがでて喜びました。
中学3年生ではスランプに陥って音がほとんど出なくなりましたが、試行錯誤の結果スランプを抜けた高校2年生ではいっきにハイFぐらいまでが出るようになりました。
高2の定演のソロではハイEがそれなりにちゃんと出て(4分音符ぐらいの短さですが…)、以来少しずーつ伸ばしてきています。
しかし、そこから10年ぐらいは大きくは伸びず、ハイG止まりでした。
吹奏楽では有名なルパン3世のテーマを大学3年でやって、まあ満足していたのがあります。
少しづつ確実に高い音が確実に当てられるようにはなっていきますが、もっと高い音は出ず。
というか、チャレンジしてませんでした。必要ないし。
しかし入っているビッグバンドで2018年にリードトランぺッターに任命されて、少し考え方が変わりました。
ビッグバンドのリードトランペットってハイFやハイGぐらいまではわりと出てくることあるんですよね。
この辺の音域を確実に当てようと思うと、最高音がハイGでは駄目だな、と。
トランペット吹きならわかることですが、「楽に出せる音域」「頑張ればいつでも当てられる音域」「調子が良ければ当たる音域」「絞りだせば出るが曲では使えない(音楽的ではない)音域」は人それぞれ違うんですよ。
それぞれの音域の「最高音」も当然異なるわけですが、「最高音」の定義もまちまちなんですよね。
ちなみに俺は曲で使えることが最低限必要だと思っているので、「調子が良ければ当たる音域」の最高音を「自分が出せる最高音」と呼んでます。
これまでは高校生でハイGは「絞りだせば出るが曲では使えない音域」で、大学生から2018年まで「調子が良ければ当たる音域」。
もっと高音を伸ばして、立派なリードトランぺッターになるぞ!と思いました。
そのためには、ハイノートヒッターになりたい!と改めて思うように。
ハイノートヒッターの定義
ところで、ハイノートヒッターって何なんですかね。
中学生でエリック宮城を知って憧れ、大学でファーガソンのコピーにこっそりチャレンジしてきました。
彼らはまごうことなきハイノートヒッターです。
俺も「高い音がよく出るね」と言われてきましたが、俺はハイノートヒッターというほどではない、とも思う。
じゃあハイノートヒッターって何?となるわけですよ。
ダブルハイBが出ること?もっと高い音まで出ないとダメ?
それとも「Gonna Fly Now」が吹ければいいの?
わからん。
となると、まずは調べてみますよね。
「ハイノートヒッター 定義」でググる。
いやあ、全然出てこない。
で、唯一出てきたのがこれ。
”ハイノート・ヒッター”の定義、私的には曲のラストにin B♭で”ダブル・ハイ・ド”(世間一般的に「ダブル・ハイC(実音でいうところのダブル・ハイ・ベー)」)をロングトーンで決められるプレーヤーの称号だと思ってよいと思います。
アマチュアの方のホームページですが、すごく明確で、しっくりきました。
これをさらに具体的にして、ハイノートヒッターの定義を俺の中で下記に決めました。
「ライブステージの最後の曲のラストノートでダブルハイBをフォルテでロングトーンできる人」
かなり限定されました。
こうなると、目標がしっかり定まるわけです。
大体2年かけてハイノートヒッターになることを目標に立て、2018年から目指し始めました。
ハイノートヒッターへの道のり
まずは2018年の俺、現状分析と課題の洗い出しですね。
ダブルハイBをフォルテでロングトーンできるようにならないといけない。
そのためには、「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音がダブルハイB以上になっていること。
現状は「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音がハイF。
ちなみに「絞りだせば出るが曲では使えない音域」の最高音がハイAs。
そしてもちろん、ライブステージの最後の曲のラストノートまで体力が持たないといけない。
そのためには、普通に出てくるハイFぐらいまでは「楽に出せる音域」にないといけない。
現状は「楽に出せる音域」の最高音はハイBの下のGぐらい。
よって課題を下の二つに絞ってアプローチしていきました。
- 課題1:「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音を伸ばす(ダブルハイB以上まで)
- 課題2:「楽に出せる音域」の最高音を伸ばす(ハイFぐらいまで)
上記は連動していることも多く、片方を伸ばすともう片方もついてくるのは往々にしてあることです。とはいえアプローチは少し異なると思っているため、別々に考えることにしました。
課題1:「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音を伸ばす
「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音を伸ばす前に、そもそも「絞りだせば出るが曲では使えない音域」の最高音がハイAsでダブルハイBなんかかすりもしてないわけですよ。まあ1音分ですが。
なのでまずは、自分の絞りだしてでも出せる音域の拡充からです。
俺が思うに、ハイノートヒッターが出すような高い音を出せないのって、なかなかその音をイメージできないことが最も大きな問題だと思うんですよね。
その音を出している自分を想像できないというか。
あきらめの気持ちがあるというか。
なので、その音を出せるイメージを作るのが一番大事だと思っています。
「あ、意外といけるんじゃね?」って思えるようになりたい。
そのために一番いいのは、自分の出したい音をたくさん聞くことだと思いました。
そして始まるYoutube巡り。
いろいろ観ていると思うのが、ダブルハイBって意外とみんな使ってないんだな…ってこと。
エリック宮城とかあまりそこまで吹いている動画はないし、ファーガソンのダブルハイBはカスカスしてるし、意外とプロでもちゃんとダブルハイBって使わないのかな…
と思いきや。
その中で見つけたのがこれ。
Wayne Bergeron - O Holy Night Solo Part - The Tom Kubis Big Band
これが俺のウェイン・バージェロンとの出会いです。
普通の静かなクリスマスソングかと思って聞いていると、後半音が高くなって、さらにはラストノートがダブルハイCロングトーンなんですよ。
何がすごいかって、その音の高さを全然感じさせない音色です。
え、トランペットってこういう音も出るのか!って感じ。
そして聴きまくるとだんだん、自分にもできないこたぁないよな、と思えるようになってきました。
ところで、ウェイン・バージェロンこれ以来好きになってしまって、今では自分の目標とするプレーヤーの4人目に入るまでになりました。
他の動画を見ても思いますが、この人すごい。ディスコグラフィもすごい。この人のホームページ見てほしい。
このへんは別途改めて日記に残しておきたい!
閑話休題。
さて、練習では、この曲をコピーして、この音をイメージして、エイヤ!!ってのを繰り返すことで最高音を伸ばす訓練をしました。
もちろん、毎回アンブシュア・息の入れ方・舌の位置・体の力の入れ具合なんかを試行錯誤しながら。
一日に何度もやるわけじゃないですが、毎回目を閉じて1分間ぐらいでイメージを固めて、それからトライ!というのを繰り返しました。
こんな感じ(笑)
楽器を吹くというより、イメトレが中心ですかね。
イメージを固めるのが練習の中心で、その確認が「エイヤ!」って感じ。
だんだん伸ばしていこうとは特に思ってませんでした。
最初はもちろんできなかったのですが、3か月ぐらいやってるとたまにかするようになってきます。
「絞りだせば出るが曲では使えない音域」が伸びるわけです。
一度出るようになれば一気にイメージができるようになるし、こっちのもの。
その音を一日一度とは言わず何度も使っていくことで、体に慣れさせていきます。
その過程で一番参考になったのが、アダム・ラッパのこの動画。
Want EASIER High Notes? Here's The Answer.
めっちゃ楽そうに出してますよね。
息の量が少ないのが重要ポイントみたいです。
これを見るまでは結構パワーで押し込んでダブルハイBを吹いていましたが、この動画を見てからは結構スムーズに吹けるようになりました。
小さい息でシュッと吹くというのかな、まあ、コツを掴んだってことですかね。
こればかりは言語化できんな。
調子に関係なく出せるぐらいにはなりました。
課題2:「楽に出せる音域」の最高音を伸ばす
高い音を楽に出すためには、より効率的に唇を振動させる必要があると思っています。
そのためには、小さい音の練習とリップスラーの練習が効果的だと思っています。
小さい音の練習は、より少ない息でも反応する効率の良いアンブシュアを作ることが目的です。
pppでの練習を最初は取り入れました。
ノーアタックでpppのロングトーン。
そーっと吹いて、力づくで音を出そうとしない練習を心掛けました。
これで高い音を出すのは難しいけど、確実に効果があります。
途中からはウィスパートーンも取り入れるようになりました。
海外のプロはやってるみたいな情報がネット上にあったような。
ウィスパートーンというのは、息を入れて、音にならないけど音程が分かるぐらいの状態のことで、これを保つ練習をしました。
pppの練習と目的は近いと思いますが、より効果的に思いました。
参考動画はこんな感じ。実際はマイクがないので息の音がメインで、実際の音成分は少ない感じです。
Practicing Whisper Tones by Charlie Porter
ロングトーンよりタンギングした方が分かりやすい気もします。アタック後の一瞬だけ音程が分かる感じがあります。
それで簡単な曲を吹いて(?)みるとかやりました。
慣れてくると、少しずつこれでも高い音(音になってないけど)が出るようになってきます。
次第に唇が繊細になってくるのが分かります。
普通の音量を出すときも、どんどん効率的に息が使えるようになります。
入れた息が音になる変換効率が上がる感じ。
説明が難しいけど。
それからリップスラーの練習もしました。
こっちの目的は高い音を低い音を吹くのと同じように力を抜いて吹けるようにすることです。
特に意識したのは、レンジの広いリップスラー。
2オクターブ以上、上下を2往復以上することを基本でやっています。
具体的な方法は、4分音符で「ローB~ミドルB~ハイB~ミドルB~ローB~ミドルB~ハイB~ミドルB~ローB~」みたいな感じ。
グリッサンドみたいになってもいいので、2オクターブの速いリップスラーを行いました。
最近は3オクターブも練習中です。
これはまだちゃんとはできないけど一応形になってきた…ぐらいでしょうか。
あとは、高い音を出すアンブシュアで低い音まで出す練習は結構効果的でした。
上記のリップスラーをハイBから始めるような感じです。
最初にハイBのアンブシュアでスタートするので、最初はなかなか下の音が出ませんでした。
その辺の練習をやってると、上と下の音でアンブシュアが似てくるんですよね。
高音の練習をするときは、普段使うアンブシュアで高い音を出せるようにしていくのが普通だと思います。普段使うアンブシュアって自分が考える一番中央の音を基準に考えますが、音域が広がるにしたがって中央は変わっているはずなんですよね。
トランペットを始めたころは最低音E~上のFぐらいの幅が汎用音域と思います。ミドルFが中央で、そこから上下1オクターブぐらいになるので、ミドルFを基準にアンブシュアを作るのが基本だと思います。
例えば一日の初めに楽器を口につけて最初に吹く音。一番楽に吹ける音。これが基準のアンブシュアの音だと思います。
楽器が上達してくると、基準のアンブシュアは変えずに、上だけ伸ばしていくのが普通かなーと思います。4度だけ伸ばしてハイBまで出れば吹奏楽では十分でしょうか。
でもだんだんと上に音域が広がっていくなら、中央の基準となるアンブシュアも変わるはずですよね。
ハイFぐらいを目指すなら、チューニングのミドルBを中心に上下1オクターブ半という感じでしょうか。ミドルFを中心ととらえていては、ハイBより上は対応できないと思います。
また、ビッグバンドのリードトランペットの音域を考えると、上のFを中心に上下1オクターブ半ぐらいを目指したい。あんまり下の音使わないしね。
そう考えて、自然に吹ける中央の音がミドルB~上のFぐらいになるように意識しました。
例えば一日の最初の音で、脱力して上のF吹くとか。
そうしているうちに、少しアンブシュアやアパチュアがコンパクトになっていきました。
それでも低い音が出なくならないように、リップスラーで低い音までカバーできるように練習する、というような感じです。ビッグバンド以外では使う機会も多いので。
今では、昔の自分がミドルBを吹く感覚と、上のFを吹く感覚は近いような気がします。
とてもリラックスして出る。
よくよく考えると、結構すごいかも?
それに従って、昔のハイBを吹くぐらいの感覚で、今はハイFが吹けるようになりました。
「楽に出せる音域」というほどではないけど、「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音でもないぐらい。
ハイノートに対する考え方
トランペットのハイノートというのは、めっちゃ高揚感がありますよね。
トランペットプレイヤーならもちろん、楽器をやったことがない人でも、あの「キュイーン!」という音を聴くと興奮すると思います。
これがトロンボーンのハイノートではそこまで興奮しないし、もっと音が高いクラリネットやピッコロでも高揚感はない。
歌のハイトーンは人によっては近いものがあるでしょうか。
曲の盛り上がるところでオーディエンスを興奮のるつぼに巻き込むサウンド。
それがトランペットのハイトーン。
そして、プレイヤー目線で行くと、演奏が極端に困難であるということが、憧れになる要因だと思います。
ハイトーンを出せば誰もが興奮するはずなのに、限られた人しか使うことができない。
しかもそれは、いくら練習してもたどり着けない領域があったりする。
そういえば昔、フルート吹きの友達に「トランペットのハイベーって必殺技みたいな扱いだよね。フルートも必殺技ほしい。」って言われたことあります。
すげーわかる。
必殺技感。
トランペット奏者が高い音をうまく吹いた後のドヤ感が、必殺技感を増幅します。
とはいえ。
これだけ語れるぐらいに高い音が好きな俺ですが、実は高い音ばかり吹いている奴はダサいと思っています。
こう思う人は多いんじゃないでしょうか。
高い音をクールに使えるからカッコいいのであって、例えば音出しだけ高い音をロングトーンしてイキって、結果合奏の時にはバテて音が当たってないような輩とか、音楽性がいまいちな人たちは正直「うわぁ…」って思っています。
そういうのに限って音が汚かったりするしね。他の練習もちゃんとしとけよ、って感じ。
だから、人前で高い音はたくさん練習しない。やるときはこっそりが基本です。
でもちゃんと練習はする。
高い音吹けるひとって当たり前ですが、高い音いっぱい吹いてるんですよね。
逆に「高い音目指してるのに出ないんです…」って人は、あんまり高い音を出そうとチャレンジしてないように見える。
人前でイキって吹きまくってバテてるのは正直ダサいと思っちゃうけど、たくさん吹かないと出るようにはならないな、とも思います。
だから俺は、音出しの時には自分の最高音は毎回吹くことにしています。
でも一回だけ。やりすぎない。
中音域を中心に音を出して、ペダルトーンもハイトーンも吹く。自分の出せる限界まで。
どこまでどの程度スムーズに出るかを見て、今日の調子を判断する。
周りに人がいなくて調子がいい場合は、自分の出せる限界を超えられるかチャレンジする。
そんな感じでハイノート付き合っています。
惑わされすぎないこと。でも拒否しないこと。
マウスピース
余談ですが、普段使いのマウスピースとしては、下にあるものを使ってます。
ビッグバンド・バンド系 YAMAHA 14A4a
吹奏楽・アンサンブル・コンボジャズ Bach 5C
C管トランペット Bach 2C
ロータリートランペット YAMAHA 15E4
ハイノートの練習はビッグバンド向けにYAMAHA 14A4aを使うことが多かったです。
ですが、他のマウスピースで練習することもありました。
音域は基本的にマウスピースによらないと思っています。
マウスピースで変わるのは、音色と出しやすさだけ。
めっちゃ深いYAMAHA 15E4を挿したロータリートランペットだってダブルハイBはでるし、上記に書いてないJet Tone 10S(メチャ小径極浅)でももちろん吹けます。
マウスピースの大きさ、特にカップ容積は、そのマウスピースにとって「おいしい」音色がでる音域に影響を与えていると思っています。
Bach 5Cとかだと中音域(ミドルF~上のF)ぐらいまでがスイートスポットですが、High Fとかは少し音が細くなってしまう感じ。
逆にYAMAHA 14A4aは高音域(上のF~ハイF)ぐらいまでで太くきらびやかな音が出てくれますが、ロー B以下で音が薄くなってしまう感じ。
スイートスポットではない、つまりそのマウスピースにとってベストな音色で吹けないだけで、どのマウスピースでも音は出せるようにしておくことが俺は大事だと思っています。
だから、ハイノートを出せるようにするにあたって、マウスピースで解決しようとするのは全く考慮しませんでした。
ハイノートをもっと出したいと思ったときに、マウスピースを変えようとする人が多いとは思いますが、俺はその方法はお勧めできませんね。
手元に転がってたJet Tone 10Sを使うと確かに出しやすいとも思いましたが、全体のバランスに問題があるように感じましたし、使う気にはなりません。
ありゃファーガソンとかコピーするような、ハイトーンばっかりなときにしか使えん(笑)
にしてもYAMAHA 14A4aは中学2年生の時にヤフオクで3000円で買ったカスタムモデル。20年近く経っていまだに現役なのがすごい(笑)
ハイノートヒッターになった瞬間
練習を重ねて、だんだん高い音が出るようになっていって。
所属しているひとつのビッグバンドの本番が、2019年12月21日にありました。
今回はワンマンライブで15曲ぐらい。
最後の曲が「Love for Sale」という、バディ・リッチ楽団の曲でした。
記譜上のラストノートはハイEsのロングトーン。
コード的にダブルハイBもハマるので、練習の時に1度だけダブルハイBに上げて吹くのをトライして、少なくともフレーズで使えることを事前に確認してました。
2018年の後半ぐらいからビッグバンドでもリードトランペットを任され、それなりに吹き方を理解してきたのではないかと思います。
音を上げても、「高い音ばっかイキって吹いてるやつ」とは思われないだろう…
そんな考えもあって、基本的には楽譜に書かれたことをキチンとやって、音をやたらに上げないようにしていたんですが、最後の曲だし本番でも行けそうなら行っちゃえ、と心の中でこっそり思っていました。
プログラム全体もそれなりにハードな内容でしたが、意外と体力を残したまま最後の曲に。
この「Love for Sale」もなかなかエグめの曲で、「これが最後の曲かぁ…」って思うぐらいの大変さだったんですが、これも意外と省エネで吹けてる。
こりゃ行けるか…?と思い、ラストノート、エイヤ!とダブルハイB狙ったら、ちゃんとフォルテで伸ばせました。
この瞬間「ライブステージの最後の曲のラストノートでダブルハイBをフォルテでロングトーンできる人」になりました。
こんな感じ(笑)
もう、心の中でガッツポーズですよ。
吹き終わった後は少し頭の血管きれてそうだったけど。
吹き終わった後に、ラッパの隣の人が「エグい…」って絶句してたけど。
でもそれ誉め言葉です、ありがとう。
結局、1年半ぐらいで目標を達成できました。
大っぴらに「俺ハイノートヒッターだぜ!」なんて言う気はないけれど、少し自分に自信が持てた、そんな話。
しかし一流のハイノートヒッターはもっと出せると思うし、もっと余裕もってこの辺も吹けるようになりたい。
もちろん、ハイノート以外も練習することが山積みです。アドリブもまだまだ雑だし、オーケストラももっと表現の引き出し増やさないと。
これからもまだまだ精進していきます。
演奏会を終えた感想と、今後の楽団に求めること
演奏会を終えて
色々と詰めた3か月間が終わった。
相変わらず、他の予定をこっちに割いてやっているだけに、終わった後の喪失感が大きいです。
喪失感の大きさは、満足感とも比例するところはあるんだろうけれども。
やっているときは大変だと感じていても、終わってみると楽しい日々だった、ということは往々にしてありますね。
今回はまあ、一曲目のソロがうまく言ったんで良しとしましょう。
トランペット吹きとして、一番重要な仕事をきっちりやったということで。
翌日は有休をとっていたけれども、酔っていたのか終電ぐらいで帰ってしまった。
朝まで飲んでいる人もいなさそうだったしね。
翌日の休みは、なんだか気の抜けた日を過ごしました。
マンガ読んで、テレビ見て。
録音聴いてみたいな、とか考えながら、寝っ転がって過ごしました。
さて、これからは何をしようかな。
多楽器主義
ところで今回の演奏会では、トランペットに加えて、フリューゲルホルン、コルネット、クラリネットと4つの楽器を演奏しました。
トランペットと似た大きさのマウスピースを持つ、フリューゲルとコルネットはいいのだけど、クラリネットはやはり壁が大きかったですね。
3か月ぐらいではあったけど、社会人ながら週に4回ぐらい練習を積んだことで、なかなか吹けるようになったんじゃないかと思う。
やっぱり速指はスムーズにいかないところも多いけど、音は一人前に出せるようになった。
もうちょっとうまくなりたいと思ったら、いろんな調の速指メインのエチュードでもこなせば、1年あればみんなに追いつけるんと違うかな…というところまではきました。
これからも続けるかどうかは、少し悩み中。
やるなら借りていた楽器を返して、自分のを買わなくては。
今回は両方とも一定のレベル以上で演奏できたので、みんなから責められることはなかったけれども、やはり吹奏楽というのはマルチプレイヤーに対して良く思われない環境が根強いように思います。
うちのサークルでは、下記の持ち替えはが頻繁に行われます。
トランペット:フリューゲルホルン、コルネット、ピッコロトランペット
フルート:ピッコロ
サックス族:全部(バリトン以外のことが多い)
全パート:ピアノ、マラカスなどのパーカッション
基本的に「特殊管」との持ち替えは許容とされていて、「曲によってはそのパートがない場合がある」パートが「特殊管」と呼ばれるような感じがします。
なので、ジャズではよく見かける「サックス:フルート」の持ち替えや、マウスピースを同じくする「トロンボーン:ユーフォニアム」の持ち替えなんかはほとんど見ない。
やろうと思えば、「クラリネット:サックス」や「トランペット:ホルン」なんかも問題なくできると思うのに。
特殊管以外の持ち替えは、禁忌というか、はしたないというか、いろんな感情があるのではないかと感じています。
一つには、プレーヤー自身が「本職の調子を崩すのではないか」と心配しているのはあると思います。
それはきっと、崩す人と崩さない人がいるんでしょう。
他には、やはり慣習というか、浮気というか、極めてナンボというか、そんな感じの「ほかの楽器をやるのは何となく歓迎できない空気」みたいなものがあるんじゃないかと思っています。
でも俺は、いろんな楽器をやるのは別に悪いことだとは思わない。
その結果、総合的に見てプラスならやればいい。
誰でもできることだとは思わないけど、やりたいと思う人がどんどんできる環境ができればな、と思う。
そして、今回その皮切りにみんなが自由に考え出してくれれば嬉しいですね。
「トランペット:ホルン」のような許容遷移でなく、「トランペット:クラリネット」という禁制遷移を先陣切ってやって見せたのだから。
みんなが「俺でもできるんじゃね」って思ってくれればな。
「多楽器主義者」ではないけれども、慣習に縛られない、自由な音楽ができることを願います。
いよいよ明日が定期演奏会
6月からは、毎週末ずっと楽器の練習をしていました。
明日のために。
OB吹奏楽団と名前は付いていますが、現役の頃から参加し続けてもう9年目。
またこの季節がやってきた、と思うのと同時に、終わりが近づいてくるのを寂しく感じたりもします。
毎年自分の立場も変わっていき、今年は6年ぶりに演奏者という立場のみで参加します。
トランペットの方は楽曲も難しくないので、今年は大人な演奏を心がけてまたひとつ、成長する事が出来そうです。
そして今年はもう一つ、クラリネットでも参加しています。
5曲はトランペットで残りの4曲がクラリネット。
6月末に楽器を借りてから、平日でも2時間とか時間を割いて練習してきました。
こっちのほうはなんだか、この歳にして初めての発表会的な緊張感を味わえそうです。
どんどん新しい事に挑戦して、成長していきたい。
同じ「OBバンド吹奏楽団定期演奏会」という枠組みの中で、毎年自分と向き合えるいいタイミングです。
よし、頑張ってくるか。
和音の音程と数学
日記?を再開してから2か月ぐらいが経ちましたが、なんだか最近は日記というか、ブログの記事みたいになってきています。
数年間日記を書いていなかったおかげで、書きたかったことが溜まっていて、それをまとめて放出しているうちにこんなことに…
しかし最近では、ネタが尽きかけているせいか、遅筆になってきました。
まあ、マイペースに書こうとは思っているのですが、2日に一回更新しよう、と心の中で考えていたのも途切れそうです。
…とここまで言い訳をしたところで、大学時代に書いたコラムを見つけてきました。
和音の音程について、長調の第三音を下げ目に取る理由について考えたものです。
サークル内の配布物に寄稿しましたが、こっちのネタにもなるかなーと。
ネタ切れ感が凄いですね。
まあいいや。
それでは、始まり始まり~
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今回は理工学部っぽい感じで、みんなの嫌いな数学の話をしたいと思います。時間があれば読んでみてください。
音とは空気の振動、空気が造る細かい波です。1秒間に空気が回振動するとき、「周波数が Hzである」と言います。皆さんお馴染みのA=442Hzでチューニングというのは、チューニングBの半音下のAの音が442Hzである、ということです。
ここで、ある周波数[Hz]の音1と、この倍の周波数[Hz](=[Hz])の音2があったとします。このとき、「音2は音1より1オクターブ高い」といいます。勘のいい人はわかると思いますが、周波数が4倍になると2オクターブ高くなります。8倍だと3オクターブです。つまり、オクターブ違う2つの音の周波数、[Hz]と[Hz]の関係は下のようになります。2のn乗となりますね! これぐらいわからないと大学には入れません。
昔の偉い人は、オクターブを1200等分したものを1centとする、と決めました。
つまり、cent違う音の周波数の関係を上の式と同じようにつくると、下のようになります。
上の式と比べると、1200cent違うと1オクターブ違うというのがすぐわかりますね。ちなみに、オクターブを12等分した100centというのが、平均律でいうところの「半音」になります。
例を考えてみましょう。A=442Hzでチューニングをしている時、チューニングBの音の周波数はいくつになるでしょうか?
上の式のxには、BはAより半音高いので100 centを、A1には442Hzを代入すると、下のように求まります。
すなわち、
ここで、次からの話題のために、皆さん高校の時に数学ⅡBで習ったlogの知識を使って上の式を下のように書き換えておきます。
話題は変わりまして、和音の話になります。周波数の比が綺麗な整数比になる時に、綺麗な和音ができあがります。
その中でも簡単な整数比、4:5:6を考えてみましょう。それぞれの周波数を、、とおきます。これが最も有名な三和音、長三和音となります。誰もが知っている、ドミソの和音です。
まず、ドとミの関係を見てみましょう。に、にをさっきの式に代入してみます。
平均律ではドとミは半音4つ分、つまり400 centになります。もうお気づきですよね? 三音が普段13.7 cent低くして演奏しなさいと言われる理由はここにあります。
次にドとソの関係を見てみます。上と同じように4fと6fを用いて計算すると、702.0 centとなります。平均律では半音7つ分である700centに対して2cent高いのがすぐにわかるでしょう。これは結構小さいので無視していいと思います、たぶん。
まとめると、centというのは周波数比により、純正律は計算で求められるということです。
ちなみに純正律では周波数比が、1:1を完全1度、1:2を完全8度(オクターブ)、2:3を完全5度、3:4を完全4度、4:5を長3度、5:6を短3度としています。これを使って、短調の3度がどれだけ音程を変えなくてはならないのか計算してみるのも良いでしょう。
また代表的な4和音として属七の和音(ドミソシ♭)がありますが、この和音に対する解釈の一つとして、周波数比4:5:6:7という属7度音程があります。これは計算してみると-31.2centとなるんですね。でも、属7度は純正律ではそうなりません。どういうことがいいたいかというと、この周波数比に関する知識は万能じゃないってことですね。あくまで、「解釈の一つ」として考えてもらうといいと思います。
他にも周波数が2倍、3倍…となっていく「倍音」があります。トランペットでは下のBが第2倍音なので、解放でリップスラーをして考えてみてくださいな。トランペットはもともとBを基音とする純正律の楽器です。だから、「この音は高く(低く)なりやすい」っていうのがあるんですね。
もっと知りたい人は、インターネットを使ってみるのも良いと思いますが、僕に聞いてくれればそこらの音大生よりは語れると思います。
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…と、昔の俺は言っていた。
Blast! Music of Disney
3週間ほど前、ブラストを観に行ってきました。
ブラストは一言でいえば、アメリカのサーカス的マーチングバンドです。
アメリカって、スクールバンドでマーチングやっている印象があって、フットボールとかのハーフタイムに演奏したりするんですよね。
たぶんですけど、そこで鍛えられた精鋭が集まったところかな、と思ってます。
金管楽器や打楽器を持った人が吹きながら動き、バトンを持った人がバトンを投げて踊る。そんなステージです。
特に、金管楽器のビッグバンドのような激しいサウンドと、曲芸のような超絶パーカッションが売りなんじゃないかと思っています。
聴いて凄い、観て楽しい。
ブロードウェイをはじめ、世界中で公演をしている集団です。
高校生の頃に行ったことがあるんですが、今回は演目が変わる、ということでいの一番にチケットを購入していってきました。
そう、今回はディズニーとコラボレーションする、ということで非常に期待度が高かったです。
少し話は変わりますが、吹奏楽部とディズニーって相性いい気がしますね。
ディズニー音楽がブラスセクションを多用した楽曲が多い、というだけでなく、音楽と演出をコラボレーションさせる、というのが高校吹奏楽部の演奏会の演出を思い起こさせるからでしょうか。
まあそんなこんなで、今回は国際フォーラム ホールC。
初日に押さえただけあってあって、7列目と好席位置。
ディズニーの世界観はどこまで入れてくるのか、と期待しながら開演を待ちます。
始まったのは、ファンタジアのような世界。
無言劇のような、主人公(背が高いフルーティスト)が演奏しながらいろんな音楽を奏でていきます。
曲もファンタジアで使われた曲が何曲かありました。
そして、相変わらずのドラムの超絶技巧。
スネアだけのはずなのに、見ていて何をやっているのかよくわからない。
素晴らしい演奏技術とエンターテインメント性でした。
中間の休憩では、ロビーでフラッシュモブ?
というか、みんな休憩時間になったら我先にとロビーに向かっていたのでみんな知ってたんでしょうね…
サプライズではなく定番なのかもしれませんが、本気のお遊びといった感じのエンターテインメントでした。
後半はディズニー映画の曲が使われて、前半のファンタジアとは少し雰囲気が変わりました。
全体感としては、そんなにディズニーの世界観を中心に作りこんだ、というよりも、ブラストの世界観にディズニーの音楽をのせた、という感じ。
ミッキーを思い起こさせるような曲は少なかったですね。
やはりエンターテインメントはこうでないと、と思わせるショウでした。
吹奏楽やクラシックの演奏会って、結構みんな表情が暗いんですよね。
いや、真面目で真剣なのは伝わってくるんだけど、楽しそうな曲なら楽しそうに演奏してほしいよね。
観ていても楽しくさせる、やっぱりブラストは素晴らしかったです。
でもね、でもね…
ディズニー×マーチングと言えば、やっぱり最初にこれが頭に浮かんじゃうわけで。
Future Corpsは、アメリカのディズニーワールドに昔いた、伝説的な集団です。
ブラストよりも小規模ですが、かなり近い楽器構成です。
しかし彼ら、キチガイじみた演奏をします。
超絶ハイトーンに代表されますが、どんだけ吹けるんだ、と今見ても驚愕します。
これと比べちゃ駄目なのはわかってるけど、これが見てみたかったんだよ…
ドラムはこれに近いぐらい驚愕の演奏をするブラストなんだから、トランぺッターもこういうの揃えてほしいな(笑)
また来年もブラスト来るみたいですよー
トランペットを吹くときに最も大切にしていること
楽器を演奏するときに、ゆるぎない指針があるとそれだけで上達が早くなるのではないかと思っています。
それは、人によって大きく違うところと思いますが、例えば一つの教本だったり、誰か尊敬するトランぺッターだったりすると思っています。
俺にもそれは一つあって、自分の好きなトランぺッターの語録がそれにあたります。
自分が最も好きなトランペット吹きは二人いて、故ロルフ・スメドヴィック氏と故アドルフ・ハーセス氏です。
ロルフ・スメドヴィックは金管五重奏エムパイヤ・ブラスのトランぺッターです。
自分が初めて聞いた金5の音源であり、あの時の衝撃は忘れられません。
クラリネットを吹いているようなスムーズなハイトーンの速指が、よく聞くとトランペットだった。
殆どのトランペットって、音色や音程にクセがあるため、なんの音をなに管で吹いているか、聞けばだいたいわかるんですよ。
でも彼のトランペットだけはなんの音かわからなかった。
完璧な音程。完璧な技術。
あそこまで人間離れした精緻なトランぺッターは他に知りません。
はあはあ…(*´Д`)
しまった、興奮して話がそれてしまった。
そうではなく、今回はもう一人の方。
故アドルフ・ハーセス氏です。
この人は半世紀以上にわたって、かのシカゴ交響楽団で首席奏者を務めあげた最強のトランぺッターです。
伝説は枚挙にいとまがありませんので割愛しますが、少し調べるだけでいくらでもヒットします。
このハーセス氏がいつかのレッスンで弟子に言ったものだと思いますが、それをメモしたものが自分のバイブルです。
ハーセス・レッスン・メモ*1
メモはティム・ケントが巨匠、アドルフ・ハーセスとのレッスン中にとられました。
- 練習セッションとすべての演奏
- すべての音域とボリュームでロングトーンの練習をしなさい。
- シングル・タンギングのスピードとダブルおよびトリプル・タンギングのスピードをオーバーラップさせてください。
- ソルフェージュ - 視唱 - オーケストラからの抜粋と練習曲をマウスピースでバジングしなさい。
- 美しくそしてありのままのふさわしい時があります- 両方を使用しなさい。
- サウンドはあなたがあれこれをどのように行うかの基準です。
- メロディ(旋律)を演奏することは非常に重要です。技術的なパッセージでさえもトーン(音)の重要性を知ってください。
- 高音域の曲を演奏をするのに練習のためにさらに高いノートからピック・オフ(むしり取る)してください。
- 覚えていて下さい。 - 不安定な高音域はノートをヒットするという気を緩めることが原因です- むしろ塊をテイク(取り)しそしてブローします。それが素晴らしくなるただ一つの方法です。あなたがすべてのノートで気を緩めれば耐久性が失われ、そして全体的なサウンドは吐き気を覚えるようなものになります。
- 一貫させなさい、そして決して練習してはいけません。何時もパフォームしなさい。
- 演奏する場合身体にどんな緊張も持ってはいけません、常にリラックスすることを学びなさい。
- スラーに賛成しません、そして実際どんなノートにも賛成しません。
- 45分だけの練習セッション、それがバドが行うことである。
- あなたのチョップスはどこも調子が悪くありません。あなたの心はそれらを台無しにしています。高音域は低音域よりフィジカル(肉体的)ではありません、それらが同じくらい容易であるべきであり同様に丁度良くサウンドするべきです。そのそのような問題を行なわないでください。この習慣は作り出され結局去るでしょう。しかしながら、この悪い習慣を取り除くために、1つの方法だけがあります。また、それは毎日演奏することにコンセプト(概念)を適用することです。
- すべてのレンジ(音域)で音程の合った良いサウンドさせるためにアルペジオを演奏し、そしてサウンドを聞いてください。
- バドは歌手が行うようにエクササイズを演奏します。
- すべての高音域のメカニックについて考えないでください、ただ演奏しそして聞いください。
- ノートが美しくサウンドしている場合は音程が合っています(逆もまたしかり) 。
- よいサウンドと同じラインに沿ってアプローチしてください。そうすればイントネーションはまたそこに来るでしょう。耳は仕事をすべて行うでしょう。
この語録のいいところは、精神的であいまいな部分と、実際の演奏に際した具体的な練習方法のどちらもがバランスよく書いてあることです。
メンタルもフィジカルも、その両方が大切ということです。トランペットという楽器においては特に。
そしてこれらの指摘は全てが重要ですね。全部のコメントで語れます。
その中でも、一番好きなことばがこれ。
「練習してはいけません。パフォームしなさい」
この言葉は、それまでロングトーンとかタンギングとか、メカニカルな基礎練をたくさんやってきた自分にとって非常に衝撃的でした。
performそのものの意味としては、「果たす」「演じる」「演奏する」等の意味があります。
「果たす、成し遂げる」というところから感じ取れるニュアンスとしては、どちらかというとプラスの意味があると思います。
自分の中でのパフォームの日本語訳は、「魅せる」です。
楽器を構えて、音を出し始めた瞬間から聞いている人のことを意識する。
それがただのウォームアップであっても、ロングトーンであっても、常に誰かを魅了できるような「音楽をする」こと。
たとえ、聴いている人が誰もいない部屋で吹くときでも。
これを考えるようになってから、自分の感覚が大きく変わったように感じます。
まず、すべてが音楽的になりました。
楽器を吹くことに技術的な要素を考えていたのが、楽器が音楽をするただの手段のひとつであることが理解できたというか。
そして、自分の出す音に心を込められるようになりました。
そうなると、楽器を吹くことへの集中力が上がりました。
特に技巧的に難しいところ、例えばハイトーン域での「音を当てなきゃ」という雑念とかね。
自分の楽器を演奏する際の、これからも大きな指針になり続けることは間違いないです。
最後に。
*1:KUNIOのホームぺージより引用、原文はHerseth lesson notes
吹奏楽部・吹奏楽サークルの男女比について考えてみる
大学で吹奏楽サークルに入って
そういえば10年前に大学に入学して、不思議に思ったことがあります。
それは、吹奏楽サークルの男女比がほぼ1:1だったこと。
中高は男子校で吹奏楽部に入ったから、男女比は10:0でした。
大学に入ると、きっと女性の方が多いんだろうと思って(こっそりとわくわくして)いたのですが、意外とそんなことはなかった。
時は経って、今はOBバンドにいますが、今でも男女比は1:1ぐらいをキープしています。
さらに年を取ってくると、男の方が多くなる…のかどうかは知りませんが、年齢によって男女比は変わっているのではないか?と思い、ちょっと考えてみることにしました。
小中高の吹奏楽における男女比
小学校にいた頃は、クラブ活動でマーチングバンドがありました。
確か、全員女の子だった。
しかも、女の子は半分以上は入ってたような気がします。
自分は歌を歌うのが好きで楽器にも少しだけ興味はあったけど、とても男が入れる場所ではなかったのを覚えています。
そして小学校で楽器をやっていた女の子の大半は、中学に入って吹奏楽部に入ったようでした。
一方、大学に入ってから久しぶりに開かれた小学校の同窓会では、女の子全員、中学か高校で吹奏楽部をやめてしまったようでした。
トランペットやってた子と話せるのも少し楽しみにしていただけに、その時は少し残念に感じました(笑)
加えて中高の吹奏楽部では、大学の友達に聞くと、やはり多くは女性が多いようでした。
男子校からするとそういった友達が羨ましくて根掘り葉掘りそのハーレム状態について質問するんですが、決まって「そんなにいいもんじゃないよ」と返されていました。
やはりでも、小中高では女性が多い、というのは間違っていないようです。
年代による男女比の変化
上記のことについて、実際のデータが欲しいと思って調べてみると、いくつか出てきます。
そして同時に、昔の吹奏楽部は逆で男ばかりだった、との話も出てきます。
それはいつ変わったのか。なぜ変わったのか。
時系列的な変化はいくつかの考察がされており、論文などもネットを通してみることができます。
詳細は論文を読んでもらえばいいと思いますが、簡単にまとめると下のような感じです。
- 日本の吹奏楽部は戦後、昭和20~30年(1940年代)から始まった。
- 1960年頃までは、ほとんどが男性で構成され、「吹奏楽=男のやるもの」だった。
- 1960年代に、「受験激化による男子の部活離れ」「ギターブーム」「東京オリンピックによる運動部ブーム」によって、男の吹奏楽部員が減っていった。
- 同時に、女子の高校進学率の上昇、男女の社会通念の希薄化により、女性の吹奏楽部員が増加した。
- 1970年にはほとんど男女比1:1になり、更に男女比の逆転が進む。現在では男女比はおよそ1:9になっている。
原因として挙がっているものはいずれも、さもありなんと頷きたくなるものばかりですが、その中でもロックによるギターブームは大きいんじゃないか、と思います。
1970年には1:1だった男女比が、なぜ1:9までに至ったかを考えると、やはり「男女の社会通念」の変化だと思います。
つまり、最初は「吹奏楽=男子のやるもの」だったのが、1970年に壊れてから現在までに、「吹奏楽=女子のやるもの」に再構築されたんじゃないでしょうか。
流れとしては、男女比が女性優位に傾いてくると、さらに男は恥ずかしくて吹奏楽部に入りにくくなる、という循環が続いた結果、ロックブームも相まって「男はギターで軽音楽、女は管楽器でクラシック」の模式図が定着していったんじゃないかと考えています。
ただ、これらの文献やネットの情報では、「年代による男女比の変化」に関する考察はされていても「年齢による男女比の変化」に言及されている情報はありませんでした。
中高では女子90%なのに、なぜ大学では50%ぐらいまで低下するんだろう…
年齢による男女比の変化
やはり少年少女にとって、「男はギターを嗜み、女は管楽器を嗜むもの」という概念が定着しているのではないかと思います。
少なくとも、俺を含めた数割の中学男子が、ロックに憧れてギターを手に取っています。
そして嗜みだからこそ、習い事としての水泳、ピアノや習字と同じように、成長とともにやらなくなる人が多いんじゃないか、と思いました。
幼いころにやっていた習い事は、大人になってもやっているとは限りません。
むしろ、やめてしまう人の方が多いんじゃないかと思います。
ギターも同じで、中学にギター買った友達のどれだけが今まで続けているか。
そしてここからがポイントですが、大学ぐらいになるとそういった「ライトにやっていたい層」が減り、結局男女比1:1というところに落ち着くんじゃないかと思っています。
つまり「何かに真面目に取り組もうと思ったときに、男女は関係ない」ということです。
社会通念的に「吹奏楽部は女がやるもの」となっている今では、女子は周りに流されて吹奏楽部に入るし、男子は恥ずかしくて吹奏楽部に入りません。
それが、「意外と面白くなかった・もう飽きた」と多くの女性が吹奏楽から離れ、「やっぱり音楽を続けていたい」と端から意識の高い男性が吹奏楽に残る。
結局残るのは「やっぱり音楽やりたい」と思っている人たち。
そしてその集まりが大学の吹奏楽サークル、という図式です。
ところでネットで見つけた情報で、興味深い内容がありました。
「コンクールなどが強い中高の吹奏楽部ほど、男女比が1:1に近く、逆に緩い吹奏楽部は、女性が多い傾向に強い」というものです。
確かに、と納得するところがあります。
周りの共学校を見渡すと、そういう傾向にあるような気がする。
統計はないし思い込みかもしれませんけど、それが事実と仮定して考察してみます。
軍楽隊に端を発する日本の吹奏楽界は、特に昔は軍隊式でスパルタな練習だったんじゃないでしょうか。
それだときっと、女性は入れなかったんじゃないかと思います。
そしてその名残はどこか今でも引きずっているところがあり、吹奏楽というと「文化部にして体育会系のようだ」と言われることもある、厳しい雰囲気があります。
強いところは、今でも軍楽隊要素が残っているところが多いんじゃないでしょうか。
熱血的指導、汗と涙、気合と根性。
コンクールに勝つために練習する。
そういうところだと、中高の少年少女であっても、上記した「やっぱり音楽やりたい」層しか生き残れない、とも考えられますかね。
うん、なんかすっきりした。
男はギター、女は管楽器。そんな社会通念の構図があるような気がします。
そしてそれは、年齢とともに変化して、大人になるごろには男女が均されることで、少なくとも吹奏楽サークルの男女比は中高のそれと変化する。
誰か、「コンクールなどが強い中高の吹奏楽部ほど、男女比が1:1に近く、逆に緩い吹奏楽部は、女性が多い傾向に強い」のかどうか統計を取ってくれないかなあ。