隆の導火線

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ほとんどトランペットかロードバイク、料理の話。

ピッコロトランペット購入記1 ~探索編~

なんか最近楽器買ってばっかりですね…

なんだかんだ楽器購入記第3弾になっちゃいました(笑)

ryumour.hatenadiary.jp

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今回も書いているうちに長くなってしまったので、3つに分けることにしました。

まずは探索編です。

 

ピッコロトランペットが欲しいかも

 最近いろんなピッコロトランペット欲しい欲が湧く出来事がありました。

 

一つ目。

昨年後半からアンサンブル団体に誘われて、この1月に金管アンサンブルだけの演奏会に出ました。

そこではトランペットが合計6人いたんですが、うち4人がピッコロトランペットを持ってる…

いろんな曲でピッコロ吹いてて、楽しそうだな、と思いました。

 

二つ目。

それから以前書いた通り、最近ハイノートの練習をしています。

 

 

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高い音域については、まだまだ細かい動きが課題と感じています。

ピッコロトランペットを使って高い音域を自由に演奏して、高い音域の感覚やコンパクトな吹き方を磨くことで、もっと自分は成長できる、と思いました。

 

三つ目。

一番の決め手は、9月の演奏会で使う予定ができた、ということです。

吹奏楽スターウォーズを演奏することになったんですが、その編曲で2本以上ピッコロトランペットが必要なんです。

楽団には昔から先輩の私物(もはや団所有?)が1本あるが、1本足りない。

借りることもできるけど…

 

ということで、漠然と「ピッコロ欲しいなー」と思ってました。

 

そして一度「欲しい」と思い始めると止まらなくなるのが俺の性格。

いったん欲しいと思い始めると、これでもかというぐらい調べて、頭の中がそれいっぱいになってしまう。

自分の悪いところでもあり、いいところでもあるとは思うんですが。

調べ始めるうちに欲しい気持ちが大きくなっていき、とうとう買ってしまいましたとさ。

 

これはそんな自分がピッコロトランペットの購入に至るまでの手記。

 

予算決め

まずは予算から考えます。大体買えるものも決まってくるし。

 

ピッコロトランペットだけでなく、特殊管って基本高額なんですよね。

普通のB管と比較して材料費は安く済むはずなのに、1.5倍ぐらいの値段することも多い。

生産量の少ない製品の常でもありますが、これが悩みの種。

 

だって、出番が少ないんだもん。

 

オーケストラだって展覧会とか春祭をやらないとピッコロトランペットのパートがないし、吹奏楽だって華麗なる舞曲とか、稀にしかピッコロトランペットの出番がない。

金管10重奏とかの比較的大編成のアンサンブルには書かれてること多いけど、アンサンブルの機会が少ない。

バロックとかもやってみたいけど、その出番もありそうにない。

 

そこにいくら出しますか?って話ですよ。

 

B管買うより多くの金があるなら、出番の多いB管買えば?ってなりますよね。

バックのB管を20万で買って、ほとんど使わないピッコロトランペットが40万っておかしくない?

 

なので、B管よりも安く、10万円ぐらいの安いやつが使い物になればいいかな、と思って探すことにしました。

しかし心のどこかでは「中途半端なものを買ってどうせ買い替えるぐらいならいっそ…」という気持ちもある。

 

この悩みがまたつらく、楽しいんですが。

 

ピッコロトランペットのタイプ

予算の次に、タイプで絞り込んで探していきたいところです。

 

調べていくと、オケや吹奏楽のような大編成向きと、室内楽やアンサンブルのような小編成向きに楽器のタイプが分かれてくるようです。

自分がどっちメインで使うかと聞かれれば、まだ正直分かりません。

なので、「一番普通のやつを買う」ってスタンスでいくことにします。中庸なモデルがいい。

 

ピッコロのタイプといえば、下記が考えられるのでしょうか。

 

「ピストン or ロータリー」

当然ピストンの方がメジャー。ロータリーは音が柔らかく、室内楽向きともいわれる。

まあここはメジャーなピストンかな。

そもそもロータリーは以前書いたように、ピストンよりも高価で予算オーバーの可能性も…

 

「ロング or ショート」

ロングの方がメジャーと思われるが、結構微妙なライン。

 

「トランペットシャンク or コルネットシャンク」

これは調べても違いがよくわからなかった。

どっちがメジャーかもわからん。

まあコルネット持ってないし、トランペットシャンクの方が便利かな?

 

結局、どのタイプが普通なのかがよくわかりませんでした。強いて言うならピストンのロングタイプにするかなーという感じ。あとはトランペットシャンクかな?

ということで、まあ試奏してみて良さそうなのあれば買おうかなー、んー、とりあえず調べるだけね…ぐらいのゆるーい感じで探索スタートです!

 

試奏の旅へ…

ピッコロトランペットは吹いたことはありますが、とりあえず楽器屋さんで吹かせてもらい、どんなものがあるのかを見ていくことにしました。 

 

YAMAHA YTR-6810S

ヤマハの廉価モデル。ショートタイプです。

マチュアの「ド定番」というイメージがあるので、まずは基準をここに定めます。

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トランペットシャンク14A4aで試奏。音程が安定していると感じます。

大学のサークルに昔からある先輩の私物がこれで、今まで「展覧会の絵」「華麗なる舞曲」をこれで吹いたことがあり、よく知った楽器。

新品で買うと17万ぐらいかな?友人が中古品を安く譲ってくれそうで、最初はこれが第一候補でした。

まあこの程度の音が出れば十分かなー、ヤマハでメーカーとしても信頼感があるし、という感じです。ピッコロトランペットは特に音程に難ありらしいので、これだけ整ってれば及第点、と思いました。

音色はまあ、可もなく不可もなし、というところ。正直言って魅力的ではないけど、特殊楽器なんてそんなもんかなー、と思ってました(この時は…)。

 

Carol Brass N7775 SP

台湾に工場を持つホクソン楽器のブランド。最近人気のZorroとか、下倉楽器のマルカートもここがOEM先です。

ロングタイプはやっぱりカッコいいですね。ピッコロトランペットはこっちのイメージがあります。

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マウスピースはコルネットシャンク7A4、トランペットシャンク14A4aで試奏。

音程は悪くない。音質も意外と健闘していると思います。

B管・A管、コルネット・トランペットシャンクのマウスパイプが合計4本付きで17万程度とコスパが良いと思いました。

3番抜き差し管にトリガーがついているのもありがたいですね。

ただ、右手小指のフックがついてるとなおよかったと思います。

 

あと吹いてみて思ったのが、コルネットシャンクの方が音が好みだということ。

トランペットシャンクは音がオープンになりがちで、イメージするコンパクトなサウンドとは離れていて張りのある、いうならB管っぽい音になると思いました。コルネットシャンクの方が上品な華やかさがあると感じました。

 

Brasspire Unicorn BPTRP-1200S

かの激安管楽器メーカー、J. Michaelを製造するマックコーポレーションの中級ラインです。

こちらもCarol Brassと同じくロングタイプですが、今度は3番抜き差し管にトリガーがなく、右手小指のフックがありとCarol Brassとは指かけの有り無しが逆の構成。

 

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 J.Michaelというと、激安のトランペットの形をした金属の塊を売っている、というお世辞にも良いとは言えない印象があります。これもどうせ…と思い吹いてみると、意外や意外、音がよい。同じメーカーとは思えません。ちなみにマウスピースはコルネットシャンク7A4。音程感はCaroll Brassに近いが、音質の豊かさはこっちのほうが若干良いように感じます。この違いは、Caroll Brassが黄ベルなのに対してこっちが赤ベルな事だと思います。オープンさがなくなって柔らかい、より上品な音、という感じですかね。

 

ちなみにB管A管マウスパイプ付きで11万ぐらい。破格のコスパです。コルネットシャンクでトランペットシャンクはついてませんが、コルネットシャンクで使いたいと思っていたので、気になりません。

 

正直ここまででYAMAHA< Carol Brass< Brasspire Unicorn

値段と好みが反比例(笑)

 

もうBrasspire Unicornでいいかなーと思いつつも、一応、買う前に経験として予算外のお高いのも試しておきますかね…という感じでその他も吹きました。

 

YAMAHA YTR-9835

音程がとてもよい。音質もBrasspire Unicornに比べたら豊かな鳴りで、さすがトップモデル、と思います。黄ベルらしい輝かしい鳴りがありつつも、音が薄くならずに豊かさも持ち合わせている、みたいな。

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ただし、コスパ考えちゃうとこれに40万は払えないなーと思いました。

それだけBrasspire Unicornコスパが素晴らしいということで、ヤマハが悪いというわけではないのですが。

 

Schilke P5-4

P5-4はまさに世界標準といえるピッコロです。市場のシェア獲得率はおそらく半分以上。

名だたるプロはみんなもってるんじゃないでしょうか。

1971年に発売されて以来、アドルフハーセス、フィリップスミス、ウィントンマルサリス、モーリスアンドレも使っている。もう市場占有率は圧倒的というほかないですね。

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ただし、価格も世界のプロが使うだけあって、高い。

シルバーで70万ぐらい。ゴールドなら100万。まあ完全に予算外。ブラスパイア6本買える(笑)

でもまあここは世界標準だし、一応押さえておかないとなという気持ちで試奏。ちなみにマウスピースはコルネットシャンク7A4。

 

!!!

 

やばい、全然違う。

 

吹いた瞬間一発で恋に落ちてしまいました。

 

さすがの音質。倍音がすごくたくさん入ってる。金属的な痛さがなく芯の通った音。CDで聞いてきたのと同じ、思い描いたピッコロトランペットの音が出ます。

ああ、これだったのかあ、という感じ。音程もばっちり。

 

やっぱり「ベリリウムベル」がいいんでしょうか。

シルキーのトランペットのオプションモデルであり、シルキーのピッコロトランペットには標準装備のベルです。

昔はベリリウムが微量入っていたことからこの名がついたそうですが、今は薄いコパーベルのことです。

赤ベルよりもさらに密度の高い純銅を使うことで、高次の余計な倍音がカットされて、その分心地よいとこの倍音が多くなり、音に豊かさが出る。

かつ肉薄にすることで、音の軽さ、明るさを損なわない。

こうして考えると理に適ってますよね。

加工が難しく、またへこみやすい(修理しにくい?)のが問題らしいですが。

 

世界標準といわれるだけのクオリティがあるのはよくわかります。

これを吹いてしまうと、今まで吹いてきた楽器の音がすごく味気ないように感じてしまいます。

なんだろう、クラフトビールとビール系飲料のような。

 

なんでこれを吹いてしまったんだろう、他の楽器と比べてしまったんだろう…という後悔があります。

天上の甘露を味わってしまうと、もう忘れらない、戻れない。

 

ていうか、世界標準なんて言われるぐらいなら、むしろこれがあなたの買うべき「究極の普通の選択肢」では…?

 

と心の悪魔がささやきます。

 

そのたびに「予算外でしょ!」と心の天使と葛藤が…

 

あ、ちなみにSPとGP両方試奏しましたが、俺はSPの方が音が明るくて好みでした。

 

Schilke P7-4

こちらはシルキーP5-4と双璧をなすショートタイプのモデルです。

こっちも比較として試奏することに。

 

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2007年発売と比較的新しいモデルで、楽器屋の店員曰く最近はP5-4より売れてますよーとのこと。

 

その違いについては、パイパーズより、高橋敦氏と田中敏雄氏の対談から抜粋。

 

 ─ピッコロトランペットもシルキーをお使いですか?

高橋 僕は新しいP7―4と、前からあるP5―4の両方を使っています。

田中 僕も(笑)。

高橋 P5―4は華やかな音でオーケストラやブラスアンサンブルにふさわしく、P7―4はバッハなどのバロック室内楽などにぴったりですね。

田中 まったく一緒ですね。ペトルーシュカボレロなどオケでピッコロを使うとなるとP5―4、その方が音が立つというか強くなる。P5―4はオケのサウンドの上に楽に乗っかれるので、とても楽に吹けます。逆にソロとかバッハのカンタータなどでは、より音が柔らかいP7―4を使っています。

https://www.pipers.co.jp/sample/company/schilke1.html

 

 

ちなみに俺の友人曰く「どっちかを買ったらもう片方も絶対欲しくなる」との評。

どっちもいい楽器で優劣つけ難いってことでしょうか。

 

マウスピースはコルネットシャンク11AXで試奏。

P5-4とは別の日に別の店で吹いたし、マウスピースも違ったので正直に言うと明確な差はわからず。

こっちの方がオープンに感じるんだけど、マウスピース違ったからじゃないかなあ。

管が湾曲している分柔らかい音色、とかはわかりませんでした。

しかし変わらずシルキーの素晴らしい音色はよくわかる。たまらん。

 

見た目はなんかカワイイけど不格好というか…スタンドに置けないのも面倒くさそう。

主に見た目でP5-4の方が好み。

音は比較できなかったけど、正直シルキーはどっちもシルキーの音がしたので、音は両方好み。

 

ハンス・クロマト ピッコロトランペット(型番不明)

これは友人に吹かせてもらいました。トランペットシャンクのみ、14A4aで演奏。

この時はもうシルキーにご執心だったため、正直あんまり記憶にない…(笑)

ヤマハのYTR-9835に似てるかなあ、やっぱりシルキーだなーと思った記憶しかない。

値段も同じぐらいなのかな?確か40万ぐらいって言ってたような。

シルキーがなくて金があれば、YTR-9835とこれで選ぼうとしてたかも。

 

番外編

Schagerl Model Berlin

さすがのシャーゲル。

ロータリーの音色の豊潤な柔らかさ、見た目の美しさはすごいですね。

ただしトランペットシャンクしかばいのが玉に瑕。

ロータリーピッコロ、もといヨーロッパ圏はトランペットシャンクが普通のようで、コルネットシャンクはあまりないそう。

 

音は柔らかくていいんですけどねー、コルネットシャンクの音の柔らかさが好きなんですよねー。

ロータリーの方は暖かい音色、という感じで、シルキーは明るいけど上品な音色、という感じ。

でもバロックとか吹くならシルキーに負けず劣らずこっちもありだと思います。

 

Willenberg Modell “DAH”

縦で持てるロータリー。ガンシュホーンみたいで珍しいです。

ストロークがピストンの半分ぐらいの感覚で、押したらすぐに音が変わります。

トリルがしやすいロータリーピッコロ、という触れ込みみたいですね。

ロータリーなだけあって、音の切り替わり自体もスムーズ。

音色もやはりロータリーらしい、柔らかめの音色でした。

ただし音程感が微妙。特に4番に問題ありで、自分が吹いた楽器は管を全入れしても1+3番管に比べてまだ少し低い感じでした。

 

他にもストンビとかセルマーがメジャーどころで、試奏すべきとも思いましたが、楽器屋においてあるのを見つけられず…

ていうか、その予算があるならシルキー!それか当初の予算通りでブラスパイア、の二択に絞られていました。

 

そしてここから、予算や自分の気持ちと闘いながら購入に向かっていきます。

 

次回、葛藤・購入編。