またまた買ってしまいました。
でも今回は欲しいから買ったというより、必要だったから買った、という方が近いです。
とりあえずいろいろとメモを取っておいたので、備忘録的に書き残しておこう。
なんか連載化しつつあるトランペット購入記。4回目にしてとうとう本命(?)のB管購入です。
昔の楽器と買い替えの決意
2000年頃、中学2年生の時に、Bach 180ML37SP通称「ストラディバリウス」を親に買ってもらいました。
プロも使う超定番モデルですが、当時は20万円ぐらい。
当時のトランペットの先生に連れられて、同級生と2人で行って、7本の180MLの中から先生と一緒に選びました。(同級生とはすんなり別の楽器を選べた)
いろいろサービスしてもらって17万円とかだった気がする。
中学生にとっては高い買い物ですが、今に比べたら相当安いんだなぁ…
そこから25年、もう結構ボロボロです。
特に、手が触れる部分は管体が薄くなっている部分がいくつかあり、あと10年もすれば穴が開くかも…という状態。
当時の先輩の楽器が非常に汚く、中学生の私は「ボロボロの楽器が使い込まれた感があってカッコいい!」と憧れていた時代がありまして。
積極的に錆びさせるべくいろんなことをしておりました。練習後に楽器をわざと拭かないとか、温泉地で楽器ケースから出しておいておくとか…。特に皮のプロテクターを楽器につけっぱなしにしておいて、半年ぐらい経って外した時が一番やばかった気がする。あの頃の自分をぶん殴ってやりたいぜ。楽器は大切にしような。

ほとんど修理やメンテナンスもなしに使い込んできたため、ここらで一度本格的に修理をしておこうと思い立ちました。
実は2020年にも1度修理の見積を取っていて、25万円という修理費用にビビッて修理を諦めていました。
特にメッキのかけ直しが高い。修理のうちの20万は再メッキ費用。
はんだ付けの部分も全部ばらして、メッキをかけやすいように全体を磨き上げて…というので高くなるっぽい。
楽器が30-40万で買える時代に修理でそんなに出すか?って感じで、当時は諦めていたのですが。
楽器の値段が爆上がりしてきて、いよいよ50万とかするようになってきちゃったので、これはさっさと修理しておいた方が良いな、と思いました。
改めて楽器屋に聞くと、「まあたぶん20-30万ぐらいですねー」といわれたので、見積をもらうために預けて帰ったのですが。
翌週に電話がかかってきて「修理は52万円です、メッキが40万、その他12万」と。
今は金属の値段が上がりまくっているせいで、メッキが高いのだと。
まあ確かに金は爆上がりしてるけどさ。最初と話が違うじゃんよ…
なんなら新品を買った方が安いまであるので、もう新しいのを買うのを決意しました。
ただし、今の楽器が身に沁みつきすぎているので、モデルを変えるつもりはありません。
吹奏楽、ジャズ、ビッグバンド、オーケストラ、アンサンブルとオールジャンルに対応できる普段使いの楽器は、自分にとって今のモデルだけです。
ビッグバンドだけならライトウェイト、吹奏楽だけなら#43ベル、オケ(+吹奏楽)なら#72ベル通称「ヴィンドボナ」もいいですけどね。やっぱりオールラウンドなら#37ベルなんだよなあ。
ということで、Bach 180ML37SP探しの旅です。
最近の(?)Bach
Bachの楽器といえば、言わずもがな個体差との戦いです。
ヤマハと違って個体差が大きく、当たり外れが大きいと評判(少なくとも自分の知る昔の話では)。
いい楽器(自分に合った楽器)を引けるか、というところが一番重要です。
できないなら大人しくヤマハ買っとけ。
ただし、最近のBachはまとまってきた、とも聞きます。
Bachの(正確には代理店である野中貿易の)HPには下記のように書かれています。
2006年、バックの創造者 Vincent Bach氏没後30年を迎えBach氏の描いた図面や設計図を改めて見直し、製作の全てのプロセスを調べなおしました。
このプロジェクトにより、バックの基本設計の偉大さを再認識するとともに、オリジナルデザインに忠実に製作するため製造のあらゆる工程をBach氏自身の考案したプランに立ち返り、徹底して現在の工程を見直し、多くの工程を加えました。これによりBach氏が追い求めていた理想の楽器を正確に実現することができました。
伝統的な、古き良き楽器工法に回帰とも見えますが、製造業で注目されているセル生産方式に通じ合理的に、安定して、高品質の楽器が出来るようになりました。
「セル生産方式に通じ合理的に、安定して」というところがポイントだと思います。
でもたぶんこれは表向き。
本当は「今までのやり方では作れなくなった」というのが実情じゃないかと私は推測しています。
ネットのソースでは、下記あたりが参考になります。
トランペット136|トランペット|東京佼成ウインドオーケストラ Tokyo Kosei Wind Orchestra
Vincent Bachのトランペットがすごいことになっている件 - fukaのつれづれ想い
2006年か2007年ぐらいから、Bachは2年ほどのストライキを起こしています。
その間は楽器が品薄になっていたのは、楽器屋巡りとかで聞いていた。
その後の楽器屋店員とか先生周りの噂では、職人が大量退職したと聞いている。
それを受けて、これまで職人一人ひとりが楽器をくみ上げていたのが、職人がいなくなってしまい、過去の情報を引っ張り出さざるを得なくなり、さらに匠の技で組み上げることもできないので、チームを作って分業し、近代工業化せざるを得なかった、というところじゃないだろうか。
推測だけど。
スト明けの楽器は、あまり良くないとか、悪くないとか、いまいちこれといった情報はなかった。
(というかその時期は自分がその辺に興味がなかった)
個体差が小さくなっているらしい、ぐらいの曖昧な情報だったため「当たり外れというか、そもそも当たりがなくなってしまったのでは…?」という不安もある。
Bachのモデルごとの違い
それからもう一つ。
昔はBach 180ML37SP「ストラディバリウス」がフラッグシップモデルだったのですが、今は上のグレードが二つもできています。
2010年から発売された、新しいフラッグシップモデルであるAB190SP通称「アルティザン」。
2015年のBach 50周年記念モデルの復刻版(?)として2023年から仲間入りしたストラディバリウスの上位モデル190ML37SP。
どっちも吹いたことない。
ざっくりと定価で180が60万、190が70万、アルティザンが80万と言ったところ。
実売は180が50万、190が60万、アルティザンが70万ぐらいか。
180で20万を切っていた昔が懐かしいぜ…!
ちょっと調べてみたら、アルティザンは発売時2010年の定価が35万円。ひゃあぁーー
まあちょっと高すぎるのもあるから、基本は180ML37SP狙いです。
一応AB190(アルティザン)と190MLについても調べておく。
ベル形状は180MLと190MLが#37ベルで同じ。AB190はベル径は同じだけどたぶんテーパーが違う。
ベルのビード(外側の針金)はよくわからん。180MLと190MLでは同じスティールワイヤーだが形状が違うっぽい。AB190はフラットリムと記載があるので針金無しなのかな?
バルブケーシング(バルブの外側)は180MLがブラスの1ピース、190MLとAB190がブラスとニッケルの2ピース。たぶん2ピースの方が振動しづらくて高抵抗で重めの吹奏感、芯があり遠達性が高い音色になるという感じか。
マウスパイプは180MLと190MLが#25で同じ。AB190はボア径は一緒だけど特注使用。
その他は指かけの形は全部違う。彫刻が違う。この辺は正直どうでも良さそう。(音に関係あるのかよくわからん)
180MLと190MLについては、銀メッキではなくラッカーで写真を見比べると違いが分かりやすい。下の画像は公式の写真。190MLのバルブケーシングが二色になってる。


総じて、まあ値段通り190MLが180MLとAB190の間みたいな位置づけかな?
アルティザンは高すぎるからスキップするけど、180MLだけじゃなく190MLも一応吹いてみるかなーという感じ。190MLがあんまりシンフォニックすぎるなら選ばないけど。
さてここまでが前準備。そして試奏の旅へ。
ク〇サワ楽器での中古品の試奏
後述する本命の楽器屋での即日試奏を断られたので、ふらっと入った楽器屋。
180MLで4本あったから、個体差ってどんなもんよ、というのを調べるために吹いてみることに。
個体差が小さくなっているなら、感じ取れないかもしれないという不安と共に…
ちなみに中古3本、新品1本、全て180ML37SP、シリアルナンバー(S/N)は全て70万番台。
中古1本目は薄くて鳴りが浅い感じ。それにしては息抜けも悪く、10秒吹いてこれは違うと思い、次の楽器が出てくる前にお返し。
中古2、3本目、新品はそれぞれ吹き比べが必要なぐらいには悪くない感じ。
どれもいわゆるバックサウンドっぽいものが出ているように思う。
ちなみに音程感はどれも全く気にならない。
5分ぐらい吹き比べていくと、中古2本目は新品とニュアンスが近く重厚リッチ系の音色があるものの、高音域で薄くなっていく感じがあり候補から脱落。
中古3本目と新品は採点するにしても、上下をつけるというよりは、性格が違うという感じ。
中古3本目は煌びやかな伸びる音色、新品は重厚さがあり鳴る音色、という印象。
様々なプレースタイル、ジャンルも吹きながらじっくり比べていく。
よく吹いた結果、高音域で優劣をつけた。
中古3本目はハイベー以上の高音域だと音が薄くなっていく感じがあるが、新品の方はそれがない。
中音域は性格の違いで優劣がつかないけど、減点方式で新品の方がいいな、となった。
ここまで4本吹いた感じで言うと、結構個体差あるじゃん、という印象。
しかし正直4本だけで比べるのは物足りない感じもあり、購入は見送ることに。
個体によっては悪くもない感じだったので、他の場所でいい個体に出会えなければ、これの購入も視野には入るかな。
そして翌週が本命の試奏。
〇倉楽器での試奏、購入
新大久保や渋谷も考えたけど、お茶の水が今の家から近かったので、ここで買おうと思ってた。
許容できる個体が少ないなら、他の楽器屋も選択肢に入ってくるけど…
この楽器屋はショーケースに180MLが結構あったので選定できそうでいいなと思った。
10本近くあったので、まあこれぐらいあれば1本ぐらいは引けるでしょ…という考え。
店員さんに全部吹いてみたいんですけどって言ったら、今日は無理だからと言われ、翌週で予約した。
しかし翌週、予約した時間に行ってみると試奏室には2本しか楽器が用意されてなかった。
いや全部吹きたいって言いましたよね?あるだけ試したいんですが?とお願いしたら、ちょっと待ってくださいと言われ、他の接客の傍ら段々と出てくる感じで楽器を渡されました。
日曜午前中で中高生が多そうで忙しそうなときに、追加で対応してもらっちゃって申し訳ない気持ちも大きかったけど、まあそこは事前に予約していたし、ね…
自分のシリアルナンバー(S/N)54万番台の楽器を修理キャンセルとしてその日に回収し、それと吹き比べながら決めていきました。
下記は楽器屋でとったメモに後から追記したもの。
なおマイ楽器は80点/100点で今の基準と言ったところか。他の楽器を吹いて後からの感想になるけど、俺の楽器は音抜けいい目、低音域の音色が薄く開きがち、高音域のツボが広めという印象だった。
180ML① 選定品 S/N79万番台
「プロの選定品で安心感ありますから!」と強く言われて最初に渡されたのがこれ。
うーんまあ確かに安心感はあるけどさ、自分で選べないとは思っていないし、自分の好みのが選びたいから選定品にそこまで期待してないんだよなあ…と思いながら試奏。
音の豊かさ、特に中低音あたりが素晴らしい。さすがは選定品。
抜けは決して悪くないが、マイ楽器のほうが音抜けに関しては好み。
その代わり、高音域の音飛びがちょっといまいちな感じがある。
2nd3rd吹きにはぴったりな楽器だなあ…とは思うが、1st吹きである自分のカラーではない。
結構いいけど、他のも試したい。ちなみに、これも買ってもいいとは思えるライン。
80点/100点
190ML① S/N 80万番台
最初に置いてあったもう一本の楽器。190MLも吹きたいって言ったからか。
全体的に悪くはない(良くもない)。180ML① 選定品の方が音が豊かだが、こっちの方が高音域の音抜けがいい。
吹奏楽で使うなら180ML① 選定品の方がいい感じがある。
値段の高い190MLとして考えるとコスパはよくない。脱落。
65点/100点
180ML② S/N 80万番台
息抜けよさめ。高音域の伸びがよさめ。選定品よりも好みに近い。
ただし、中音域の豊かさがもうちょっと欲しい。
マウスピースを変えてバンド用のジャンルを吹いた時に、高音域の厚みがよい。ビッグバンドにも向いてる。
S/Nの末尾が777でラッキーナンバーなのが地味にポイント高い(笑)
85点/100点
180ML③ S/N 80万番台
一息吹いて違う感がある。上も下も鳴らない感じがある。1分吹いてお返し。
これ以外になければ別の店に行くレベル。
40点/100点
180ML④ S/N 80万番台
悪くはない。他に比べて中低音域が開き目で暗い音が作りにくい。
これ以外になければこれを買うかかなり迷って別の店に行くレベル。
77点/100点
180ML⑤ S/N 80万番台
上の180ML④とかなり近い。中低音域にも少し暗さと豊かさが欲しい
78点/100点
190ML② S/N 80万番台
かなり音抜け良さそう。ハリのある音が出る。低音域に暗さは少ないが、薄い感じもなくて豊かな感じがいい。
マウスピース変えた時の高音域の厚みが結構ある。結構すき。180ML②もかなりいいので、値段次第なとこある。
85点/100点
180ML⑥ 77万番台
良く鳴るけど息入りすぎ…?
音も開き目で、豊かな感じはあるけど、なんか長時間吹いていると疲れそうなイメージがわく。
昔吹いたBachのメガトーンマウスピースみたいな感覚。
60点/100点
190ML③ S/N 80万番台 アウトレット品
ぱぱーっと吹いた感じ、メチャクチャ鳴る…全音域けっこういいぞ?
190ML②もよかったけど、ちょっとだけハリがある感じ。こっちの方が良いかも、ぐらい。
190を何本か吹いた感じとして、全体的にリッチな感じがある。音色が暗くはないけど、暗い音もいけそうな感じがあるというか。
ちなみにチューニング管が少し歪んでいるため特価とのこと。確かに四角くなっているが、気にならない。言われないと気づけない程度。
86点/100点
180ML⑦ S/N 80万番台 アウトレット品
ビード部メッキ不良のためアウトレット。
結構いい。全体的に鳴りが良い。低音域で少し暗い音が作りにくいか。
82点/100点
ここまで常に手元に2,3本ずつ置きながら、別の楽器を渡されるたびに勝ち抜き戦をしていった感じです。
結局、180ML② S/N 80万番台(末尾777!)と190ML③ S/N 80万番台 アウトレット品が最後まで残っていました。
決戦(180ML-777 vs 190MLアウトレット)
結構悩みました。
どっちも音抜けは良い。ちょっとだけカラーは違うけど中高音域は甲乙つけ難い。どっちも現行使用のマイ楽器よりも豊かさと音抜けの両立感がある。
180ML-777は中低音域で暗めの音色が得意で、現行使用のマイ楽器の上位互換という感じの豊かで暗い音色が出る。
一方、190MLアウトレットの方が低音域の飛び感がいい。暗さは少ないが中高音域の音色に近い感じで、全音域での均質感がある。
ここいらでお値段を確認すると、180ML-777は40万円後半、190MLアウトレットは特価で50万円前半とのこと。
ちなみに特価じゃない190MLは60万円前半。特価の180MLは40万円前半。
悩んだけど、全音域での均質感が良かったこと、5万しか変わらずに上位モデルが手に入るお得感から、190MLを購入しました。そこまでシンフォニックすぎる感じもなかったしね。
ほとんど楽器修理と同額で新しい楽器が変えてよかったです。いや修理高すぎか。
吹いて触ってみたモデルごとの差と個体差について
190MLを3本吹いて、180MLを7本吹いた比較として、190MLは音域の音質差が小さい感じがある。特に低音域の豊かさや音抜け感のバランスが良いように思いました。
180MLは特に中低音域で、暗くて豊かな音がするけど音抜けが悪い個体か、音抜けは良さそうだけど開いて薄い音になる個体かという2種類に分かれる感じ。
一方で、190MLはその辺が両立できている感じがある。
190MLはメーカーのHPにも下記の記載があります。あらゆる音域においてムラ無く、という部分は非常に納得できるモデルでした。
研究を重ね、Artisan モデルから定評のブラス×ニッケルの2ピースバルブケーシング「#190 プラットフォーム」に、ブロンクス工場(Bronx,NY 1928~)期のブレイス、マウントヴァーノン工場 (Mount Vernon,NY 1953~)期のベル、エルクハート工場(Elkhart,IN 1965~)期のマウスパイプを選択。最適な重量、素材、製法を研究しマッチングさせました。
あらゆる音域においてムラ無く、「バックサウンド」らしい豊かな音色が魅力です。
個体差については、8割ぐらいは許容範囲。
ビビッと来るほど素晴らしい突出した個体はなかったけど、全体的に良い感じ。
逆に「これはちょっと…」という突出して残念な個体はいくつかあった。
これを認知できない人は選定品を買うか、わかる人と楽器選びをした方が良いんだろうな。
なお音はそんな感じにしても、見た目の個体差の大きさよ。

例えば写真の1番スライドの指かけを見てください。ついている位置が全然違う。
どうやらこれはつける場所に規格がないらしい。たぶん3番スライドの指かけも。
あと、チューニングスライドではないマウスパイプ側の支柱もたぶん規格はない。
よく見るとちょっと斜めについてるのもある。
いや雑すぎんか(笑)
これだけじゃなく、他にも規格がなくて現場任せの部分とか、工作精度が低かったりとかあるんだろうなあ…(遠い目)
きっとヤマハはこうはならない。日本とアメリカの工業製品に対する姿勢を垣間見た感じです。
その結果として個体差があり、想定した以上の上振れもするんだろうけど、再現性がなあ(笑)
ラーメン二郎みたいなもんか。
わからない人は「ラーメン二郎 ブレ」でググってください。
さて、これで楽器も新しくなったので、一生この楽器で行けそうだ。
古い楽器はどうしようか?売るにもボロすぎて売れないし、捨てるのももったいない。
セルフで化学洗浄でもしてみるか…
































