ハイノートヒッターになった日
2019年12月21日、俺はハイノートヒッターになりました。
これまでの変遷
昔から高い音は得意な方だったのではないかと思います。
ご多分に漏れず、昔から高い音に憧れ、練習を重ねてきたクチです。
中学1年生で楽器を始めて、中学2年生で初めてハイベーがでて喜びました。
中学3年生ではスランプに陥って音がほとんど出なくなりましたが、試行錯誤の結果スランプを抜けた高校2年生ではいっきにハイFぐらいまでが出るようになりました。
高2の定演のソロではハイEがそれなりにちゃんと出て(4分音符ぐらいの短さですが…)、以来少しずーつ伸ばしてきています。
しかし、そこから10年ぐらいは大きくは伸びず、ハイG止まりでした。
吹奏楽では有名なルパン3世のテーマを大学3年でやって、まあ満足していたのがあります。
少しづつ確実に高い音が確実に当てられるようにはなっていきますが、もっと高い音は出ず。
というか、チャレンジしてませんでした。必要ないし。
しかし入っているビッグバンドで2018年にリードトランぺッターに任命されて、少し考え方が変わりました。
ビッグバンドのリードトランペットってハイFやハイGぐらいまではわりと出てくることあるんですよね。
この辺の音域を確実に当てようと思うと、最高音がハイGでは駄目だな、と。
トランペット吹きならわかることですが、「楽に出せる音域」「頑張ればいつでも当てられる音域」「調子が良ければ当たる音域」「絞りだせば出るが曲では使えない(音楽的ではない)音域」は人それぞれ違うんですよ。
それぞれの音域の「最高音」も当然異なるわけですが、「最高音」の定義もまちまちなんですよね。
ちなみに俺は曲で使えることが最低限必要だと思っているので、「調子が良ければ当たる音域」の最高音を「自分が出せる最高音」と呼んでます。
これまでは高校生でハイGは「絞りだせば出るが曲では使えない音域」で、大学生から2018年まで「調子が良ければ当たる音域」。
もっと高音を伸ばして、立派なリードトランぺッターになるぞ!と思いました。
そのためには、ハイノートヒッターになりたい!と改めて思うように。
ハイノートヒッターの定義
ところで、ハイノートヒッターって何なんですかね。
中学生でエリック宮城を知って憧れ、大学でファーガソンのコピーにこっそりチャレンジしてきました。
彼らはまごうことなきハイノートヒッターです。
俺も「高い音がよく出るね」と言われてきましたが、俺はハイノートヒッターというほどではない、とも思う。
じゃあハイノートヒッターって何?となるわけですよ。
ダブルハイBが出ること?もっと高い音まで出ないとダメ?
それとも「Gonna Fly Now」が吹ければいいの?
わからん。
となると、まずは調べてみますよね。
「ハイノートヒッター 定義」でググる。
いやあ、全然出てこない。
で、唯一出てきたのがこれ。
”ハイノート・ヒッター”の定義、私的には曲のラストにin B♭で”ダブル・ハイ・ド”(世間一般的に「ダブル・ハイC(実音でいうところのダブル・ハイ・ベー)」)をロングトーンで決められるプレーヤーの称号だと思ってよいと思います。
アマチュアの方のホームページですが、すごく明確で、しっくりきました。
これをさらに具体的にして、ハイノートヒッターの定義を俺の中で下記に決めました。
「ライブステージの最後の曲のラストノートでダブルハイBをフォルテでロングトーンできる人」
かなり限定されました。
こうなると、目標がしっかり定まるわけです。
大体2年かけてハイノートヒッターになることを目標に立て、2018年から目指し始めました。
ハイノートヒッターへの道のり
まずは2018年の俺、現状分析と課題の洗い出しですね。
ダブルハイBをフォルテでロングトーンできるようにならないといけない。
そのためには、「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音がダブルハイB以上になっていること。
現状は「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音がハイF。
ちなみに「絞りだせば出るが曲では使えない音域」の最高音がハイAs。
そしてもちろん、ライブステージの最後の曲のラストノートまで体力が持たないといけない。
そのためには、普通に出てくるハイFぐらいまでは「楽に出せる音域」にないといけない。
現状は「楽に出せる音域」の最高音はハイBの下のGぐらい。
よって課題を下の二つに絞ってアプローチしていきました。
- 課題1:「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音を伸ばす(ダブルハイB以上まで)
- 課題2:「楽に出せる音域」の最高音を伸ばす(ハイFぐらいまで)
上記は連動していることも多く、片方を伸ばすともう片方もついてくるのは往々にしてあることです。とはいえアプローチは少し異なると思っているため、別々に考えることにしました。
課題1:「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音を伸ばす
「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音を伸ばす前に、そもそも「絞りだせば出るが曲では使えない音域」の最高音がハイAsでダブルハイBなんかかすりもしてないわけですよ。まあ1音分ですが。
なのでまずは、自分の絞りだしてでも出せる音域の拡充からです。
俺が思うに、ハイノートヒッターが出すような高い音を出せないのって、なかなかその音をイメージできないことが最も大きな問題だと思うんですよね。
その音を出している自分を想像できないというか。
あきらめの気持ちがあるというか。
なので、その音を出せるイメージを作るのが一番大事だと思っています。
「あ、意外といけるんじゃね?」って思えるようになりたい。
そのために一番いいのは、自分の出したい音をたくさん聞くことだと思いました。
そして始まるYoutube巡り。
いろいろ観ていると思うのが、ダブルハイBって意外とみんな使ってないんだな…ってこと。
エリック宮城とかあまりそこまで吹いている動画はないし、ファーガソンのダブルハイBはカスカスしてるし、意外とプロでもちゃんとダブルハイBって使わないのかな…
と思いきや。
その中で見つけたのがこれ。
Wayne Bergeron - O Holy Night Solo Part - The Tom Kubis Big Band
これが俺のウェイン・バージェロンとの出会いです。
普通の静かなクリスマスソングかと思って聞いていると、後半音が高くなって、さらにはラストノートがダブルハイCロングトーンなんですよ。
何がすごいかって、その音の高さを全然感じさせない音色です。
え、トランペットってこういう音も出るのか!って感じ。
そして聴きまくるとだんだん、自分にもできないこたぁないよな、と思えるようになってきました。
ところで、ウェイン・バージェロンこれ以来好きになってしまって、今では自分の目標とするプレーヤーの4人目に入るまでになりました。
他の動画を見ても思いますが、この人すごい。ディスコグラフィもすごい。この人のホームページ見てほしい。
このへんは別途改めて日記に残しておきたい!
閑話休題。
さて、練習では、この曲をコピーして、この音をイメージして、エイヤ!!ってのを繰り返すことで最高音を伸ばす訓練をしました。
もちろん、毎回アンブシュア・息の入れ方・舌の位置・体の力の入れ具合なんかを試行錯誤しながら。
一日に何度もやるわけじゃないですが、毎回目を閉じて1分間ぐらいでイメージを固めて、それからトライ!というのを繰り返しました。
こんな感じ(笑)
楽器を吹くというより、イメトレが中心ですかね。
イメージを固めるのが練習の中心で、その確認が「エイヤ!」って感じ。
だんだん伸ばしていこうとは特に思ってませんでした。
最初はもちろんできなかったのですが、3か月ぐらいやってるとたまにかするようになってきます。
「絞りだせば出るが曲では使えない音域」が伸びるわけです。
一度出るようになれば一気にイメージができるようになるし、こっちのもの。
その音を一日一度とは言わず何度も使っていくことで、体に慣れさせていきます。
その過程で一番参考になったのが、アダム・ラッパのこの動画。
Want EASIER High Notes? Here's The Answer.
めっちゃ楽そうに出してますよね。
息の量が少ないのが重要ポイントみたいです。
これを見るまでは結構パワーで押し込んでダブルハイBを吹いていましたが、この動画を見てからは結構スムーズに吹けるようになりました。
小さい息でシュッと吹くというのかな、まあ、コツを掴んだってことですかね。
こればかりは言語化できんな。
調子に関係なく出せるぐらいにはなりました。
課題2:「楽に出せる音域」の最高音を伸ばす
高い音を楽に出すためには、より効率的に唇を振動させる必要があると思っています。
そのためには、小さい音の練習とリップスラーの練習が効果的だと思っています。
小さい音の練習は、より少ない息でも反応する効率の良いアンブシュアを作ることが目的です。
pppでの練習を最初は取り入れました。
ノーアタックでpppのロングトーン。
そーっと吹いて、力づくで音を出そうとしない練習を心掛けました。
これで高い音を出すのは難しいけど、確実に効果があります。
途中からはウィスパートーンも取り入れるようになりました。
海外のプロはやってるみたいな情報がネット上にあったような。
ウィスパートーンというのは、息を入れて、音にならないけど音程が分かるぐらいの状態のことで、これを保つ練習をしました。
pppの練習と目的は近いと思いますが、より効果的に思いました。
参考動画はこんな感じ。実際はマイクがないので息の音がメインで、実際の音成分は少ない感じです。
Practicing Whisper Tones by Charlie Porter
ロングトーンよりタンギングした方が分かりやすい気もします。アタック後の一瞬だけ音程が分かる感じがあります。
それで簡単な曲を吹いて(?)みるとかやりました。
慣れてくると、少しずつこれでも高い音(音になってないけど)が出るようになってきます。
次第に唇が繊細になってくるのが分かります。
普通の音量を出すときも、どんどん効率的に息が使えるようになります。
入れた息が音になる変換効率が上がる感じ。
説明が難しいけど。
それからリップスラーの練習もしました。
こっちの目的は高い音を低い音を吹くのと同じように力を抜いて吹けるようにすることです。
特に意識したのは、レンジの広いリップスラー。
2オクターブ以上、上下を2往復以上することを基本でやっています。
具体的な方法は、4分音符で「ローB~ミドルB~ハイB~ミドルB~ローB~ミドルB~ハイB~ミドルB~ローB~」みたいな感じ。
グリッサンドみたいになってもいいので、2オクターブの速いリップスラーを行いました。
最近は3オクターブも練習中です。
これはまだちゃんとはできないけど一応形になってきた…ぐらいでしょうか。
あとは、高い音を出すアンブシュアで低い音まで出す練習は結構効果的でした。
上記のリップスラーをハイBから始めるような感じです。
最初にハイBのアンブシュアでスタートするので、最初はなかなか下の音が出ませんでした。
その辺の練習をやってると、上と下の音でアンブシュアが似てくるんですよね。
高音の練習をするときは、普段使うアンブシュアで高い音を出せるようにしていくのが普通だと思います。普段使うアンブシュアって自分が考える一番中央の音を基準に考えますが、音域が広がるにしたがって中央は変わっているはずなんですよね。
トランペットを始めたころは最低音E~上のFぐらいの幅が汎用音域と思います。ミドルFが中央で、そこから上下1オクターブぐらいになるので、ミドルFを基準にアンブシュアを作るのが基本だと思います。
例えば一日の初めに楽器を口につけて最初に吹く音。一番楽に吹ける音。これが基準のアンブシュアの音だと思います。
楽器が上達してくると、基準のアンブシュアは変えずに、上だけ伸ばしていくのが普通かなーと思います。4度だけ伸ばしてハイBまで出れば吹奏楽では十分でしょうか。
でもだんだんと上に音域が広がっていくなら、中央の基準となるアンブシュアも変わるはずですよね。
ハイFぐらいを目指すなら、チューニングのミドルBを中心に上下1オクターブ半という感じでしょうか。ミドルFを中心ととらえていては、ハイBより上は対応できないと思います。
また、ビッグバンドのリードトランペットの音域を考えると、上のFを中心に上下1オクターブ半ぐらいを目指したい。あんまり下の音使わないしね。
そう考えて、自然に吹ける中央の音がミドルB~上のFぐらいになるように意識しました。
例えば一日の最初の音で、脱力して上のF吹くとか。
そうしているうちに、少しアンブシュアやアパチュアがコンパクトになっていきました。
それでも低い音が出なくならないように、リップスラーで低い音までカバーできるように練習する、というような感じです。ビッグバンド以外では使う機会も多いので。
今では、昔の自分がミドルBを吹く感覚と、上のFを吹く感覚は近いような気がします。
とてもリラックスして出る。
よくよく考えると、結構すごいかも?
それに従って、昔のハイBを吹くぐらいの感覚で、今はハイFが吹けるようになりました。
「楽に出せる音域」というほどではないけど、「頑張ればいつでも当てられる音域」の最高音でもないぐらい。
ハイノートに対する考え方
トランペットのハイノートというのは、めっちゃ高揚感がありますよね。
トランペットプレイヤーならもちろん、楽器をやったことがない人でも、あの「キュイーン!」という音を聴くと興奮すると思います。
これがトロンボーンのハイノートではそこまで興奮しないし、もっと音が高いクラリネットやピッコロでも高揚感はない。
歌のハイトーンは人によっては近いものがあるでしょうか。
曲の盛り上がるところでオーディエンスを興奮のるつぼに巻き込むサウンド。
それがトランペットのハイトーン。
そして、プレイヤー目線で行くと、演奏が極端に困難であるということが、憧れになる要因だと思います。
ハイトーンを出せば誰もが興奮するはずなのに、限られた人しか使うことができない。
しかもそれは、いくら練習してもたどり着けない領域があったりする。
そういえば昔、フルート吹きの友達に「トランペットのハイベーって必殺技みたいな扱いだよね。フルートも必殺技ほしい。」って言われたことあります。
すげーわかる。
必殺技感。
トランペット奏者が高い音をうまく吹いた後のドヤ感が、必殺技感を増幅します。
とはいえ。
これだけ語れるぐらいに高い音が好きな俺ですが、実は高い音ばかり吹いている奴はダサいと思っています。
こう思う人は多いんじゃないでしょうか。
高い音をクールに使えるからカッコいいのであって、例えば音出しだけ高い音をロングトーンしてイキって、結果合奏の時にはバテて音が当たってないような輩とか、音楽性がいまいちな人たちは正直「うわぁ…」って思っています。
そういうのに限って音が汚かったりするしね。他の練習もちゃんとしとけよ、って感じ。
だから、人前で高い音はたくさん練習しない。やるときはこっそりが基本です。
でもちゃんと練習はする。
高い音吹けるひとって当たり前ですが、高い音いっぱい吹いてるんですよね。
逆に「高い音目指してるのに出ないんです…」って人は、あんまり高い音を出そうとチャレンジしてないように見える。
人前でイキって吹きまくってバテてるのは正直ダサいと思っちゃうけど、たくさん吹かないと出るようにはならないな、とも思います。
だから俺は、音出しの時には自分の最高音は毎回吹くことにしています。
でも一回だけ。やりすぎない。
中音域を中心に音を出して、ペダルトーンもハイトーンも吹く。自分の出せる限界まで。
どこまでどの程度スムーズに出るかを見て、今日の調子を判断する。
周りに人がいなくて調子がいい場合は、自分の出せる限界を超えられるかチャレンジする。
そんな感じでハイノート付き合っています。
惑わされすぎないこと。でも拒否しないこと。
マウスピース
余談ですが、普段使いのマウスピースとしては、下にあるものを使ってます。
ビッグバンド・バンド系 YAMAHA 14A4a
吹奏楽・アンサンブル・コンボジャズ Bach 5C
C管トランペット Bach 2C
ロータリートランペット YAMAHA 15E4
ハイノートの練習はビッグバンド向けにYAMAHA 14A4aを使うことが多かったです。
ですが、他のマウスピースで練習することもありました。
音域は基本的にマウスピースによらないと思っています。
マウスピースで変わるのは、音色と出しやすさだけ。
めっちゃ深いYAMAHA 15E4を挿したロータリートランペットだってダブルハイBはでるし、上記に書いてないJet Tone 10S(メチャ小径極浅)でももちろん吹けます。
マウスピースの大きさ、特にカップ容積は、そのマウスピースにとって「おいしい」音色がでる音域に影響を与えていると思っています。
Bach 5Cとかだと中音域(ミドルF~上のF)ぐらいまでがスイートスポットですが、High Fとかは少し音が細くなってしまう感じ。
逆にYAMAHA 14A4aは高音域(上のF~ハイF)ぐらいまでで太くきらびやかな音が出てくれますが、ロー B以下で音が薄くなってしまう感じ。
スイートスポットではない、つまりそのマウスピースにとってベストな音色で吹けないだけで、どのマウスピースでも音は出せるようにしておくことが俺は大事だと思っています。
だから、ハイノートを出せるようにするにあたって、マウスピースで解決しようとするのは全く考慮しませんでした。
ハイノートをもっと出したいと思ったときに、マウスピースを変えようとする人が多いとは思いますが、俺はその方法はお勧めできませんね。
手元に転がってたJet Tone 10Sを使うと確かに出しやすいとも思いましたが、全体のバランスに問題があるように感じましたし、使う気にはなりません。
ありゃファーガソンとかコピーするような、ハイトーンばっかりなときにしか使えん(笑)
にしてもYAMAHA 14A4aは中学2年生の時にヤフオクで3000円で買ったカスタムモデル。20年近く経っていまだに現役なのがすごい(笑)
ハイノートヒッターになった瞬間
練習を重ねて、だんだん高い音が出るようになっていって。
所属しているひとつのビッグバンドの本番が、2019年12月21日にありました。
今回はワンマンライブで15曲ぐらい。
最後の曲が「Love for Sale」という、バディ・リッチ楽団の曲でした。
記譜上のラストノートはハイEsのロングトーン。
コード的にダブルハイBもハマるので、練習の時に1度だけダブルハイBに上げて吹くのをトライして、少なくともフレーズで使えることを事前に確認してました。
2018年の後半ぐらいからビッグバンドでもリードトランペットを任され、それなりに吹き方を理解してきたのではないかと思います。
音を上げても、「高い音ばっかイキって吹いてるやつ」とは思われないだろう…
そんな考えもあって、基本的には楽譜に書かれたことをキチンとやって、音をやたらに上げないようにしていたんですが、最後の曲だし本番でも行けそうなら行っちゃえ、と心の中でこっそり思っていました。
プログラム全体もそれなりにハードな内容でしたが、意外と体力を残したまま最後の曲に。
この「Love for Sale」もなかなかエグめの曲で、「これが最後の曲かぁ…」って思うぐらいの大変さだったんですが、これも意外と省エネで吹けてる。
こりゃ行けるか…?と思い、ラストノート、エイヤ!とダブルハイB狙ったら、ちゃんとフォルテで伸ばせました。
この瞬間「ライブステージの最後の曲のラストノートでダブルハイBをフォルテでロングトーンできる人」になりました。
こんな感じ(笑)
もう、心の中でガッツポーズですよ。
吹き終わった後は少し頭の血管きれてそうだったけど。
吹き終わった後に、ラッパの隣の人が「エグい…」って絶句してたけど。
でもそれ誉め言葉です、ありがとう。
結局、1年半ぐらいで目標を達成できました。
大っぴらに「俺ハイノートヒッターだぜ!」なんて言う気はないけれど、少し自分に自信が持てた、そんな話。
しかし一流のハイノートヒッターはもっと出せると思うし、もっと余裕もってこの辺も吹けるようになりたい。
もちろん、ハイノート以外も練習することが山積みです。アドリブもまだまだ雑だし、オーケストラももっと表現の引き出し増やさないと。
これからもまだまだ精進していきます。
防音室のある生活
購入経緯
実はうちには防音室があります。
前から書こうと思っていたんですが、期せずして長期使用レビューになってしまいました。
結婚して一年ぐらいたった2016年頃、家の余っている一部屋に防音室を入れたいと考えるようになりました。
昔から防音室には憧れがあったんですよね。将来は自宅スタジオという名の地下防音室がある家に住むのが夢だった。
そこで防音室を検索すると、設置型のが100万円ぐらい。中古で60万。防音室施工のメーカーにも話を聞きに行きましたが、数百万とさらに高い。
そもそも賃貸マンションなんで、防音室施工を考えると家から買わないといけないんですけど(笑)
なので、ホームメーカーとか土地とかもめっちゃ調べましたがそれはまた別の話。
で、貧乏性あるあるとしては防音室の自作を考えました。
ネット上では結構作っている人いるんですよね。
合板とスポンジ、グラスウール等で防音壁を作って、隙間から音漏れしないようにウレタンフォームとかで隙間を埋める。
隙間ができやすい扉と、音が漏れないような換気システムに工夫が必要ですが、少し大掛かりな工作で何とかなるレベル。
価格も全部合わせて10万しないぐらい。
さあ、設計図でも引くか、と思い、製図について改めて勉強していましたが…
そのさなか、ヤフオクで良いのを見つけました。
ヤマハ アビテックスセフィーネ2 AMCB12C。1.2畳で中程度防音(Dr-35)のグレードです。
しかも、買ってあまり使用していないけれども、急な海外転勤のため急いで手放したい、とのことで好条件。
そしてなんと14万円!!
ちょいちょいヤフオクからはアビテックスは出品されているようで、それも人気のオークションでした。
かなりの入札争いがあり値段は上がりましたが、結局約23万円で落札することができました。
運搬・組み立て
運搬・設置費用は引っ越し屋とかYAMAHAに頼んでください、とのことだったので、見積もり
設置費が5万円!運搬込で10万円を超える値段。
高い!!
購入した防音室の外寸は1.4m四方、高さは2.3mの部屋です。
ですが、既に出品者は引っ越しに向けて解体・梱包を済ませているらしく、実際はたくさんの板材です。
そして出品者はうちから車で1時間以内のところに住んでいる。
ということで、自分で運ぶことにしました。
晴れの日に友達一人を雇い、ニッポンレンタカーで軽トラを借りて運搬開始です。
重い!!
バラバラになった板材とはいえ、一つ数十kgぐらいはありそうです。
パワーに自信のある二人で運ぶのがやっと。
特に金属製の扉のついた部分はマジで重くて、100kgちかくあったんじゃないでしょうか。
二人でも軽トラに積むのがギリギリでした。
ピッタリ軽トラサイズ。
で、とりあえず家まで運んだんですが、積み込んだ後に友達が「用事あるから~」と帰ってしまいました。
なので、積み下ろしは一人。
家は二階。
エレベーターには入らない。
ということで、一人で背負いながら運びました。
いやー、いけるもんですね。
階段2段ずつ持ち上げてはおろして休みながら、何とか家まで運べました。
扉のついた部分以外は。
扉のついた部分は、何とか軽トラから降ろすことができたんですが、潰されそうになって一度は死ぬかと思いました。
倒した時に下敷きにならなくてよかった…
妻が帰ってくるまで、とりあえず何とか駐車場の壁に立てかけておきました。
妻が帰って来てから梱包を解き、扉だけ外して別途運ぶことで、何とか二人でも運ぶことができました。
まともにやろうとしたら運搬に3人は必須かな、と思います。
組み立てはそんなに難しくないです。
説明書をちらっと見ながら作れます。
まずは床を設置して
壁を乗せていきます。
壁どうしも引掛けポイントがあるので、六角レンチで扉の鍵を閉めるようにロックできます。
妻に壁を支えてもらいながら、壁どうしをくっつけたら天井を乗せて完成です!
後は換気扇や電灯を取り付けますが、それもそんなに難しくない。
2-3時間ぐらいでできたかな?
部屋はだいぶ狭くなりました。
ちなみに防音室は多分全部で300kgぐらいです。床が抜けないか不安(笑)
うちは2階で下が駐車場なので、ある程度床は丈夫に作られてそうですが、家によっては難しいかもしれませんね。
とりあえず床はへこんだりしてはいなさそうです。
使用感
内寸は1.2m四方で、トランペット二重奏ができるサイズ感です。
弓があるヴァイオリンやトロンボーンは難しいですが、ギターや大体の管楽器は演奏可能です。
ちなみに早朝から深夜まで、いつでもトランペットを吹いてます。
防音室の外にいると、テレビぐらいの音量で聞こえる。うるさくないけど普通に聞こえるぐらい。
試しにベランダに出て窓を閉めたら、全くベランダからは聞こえなかった。隣の家はどうかわからないけど、3年間苦情はないので平気でしょう。
でも、テナーサックスを中で吹くと結構外に響きます。昼間以外は厳しいかも。
低音楽器は防音大変そうですね。テナーサックス以下の低音楽器は高防音グレード(Dr-40以上)が必要な気がします。
コスパについては、カラオケや外部で練習するのとどっちがいいかを考えました。
防音室20万円として、一回1時間カラオケやスタジオで500円練習するとして、400回分。
毎週末2回使うとして、年間100回。4年でトントン。
1人なら難しくても、妻もトランペットを吹くので2人ならいけそう。
なんなら使わなくなったら15万ぐらいで売れれば、コスパは抜群。
そして何より、外にあるとそんなに楽器吹かないけど、家ならいつでも練習できるのがもちろん最大のメリットかな。
うちはギターと電子ピアノもあるので、防音室と併せてローテして遊ぶことも多いですが、防音室の利用率が圧倒的に高いです。
朝、会社を出る前に15分遊ぶ。
夜、煮物を煮込んでいる最中に15分練習する。
飲み会から帰ってきて、少し遊んでから寝る。
休日は一日に10回ぐらい出入りを繰り返して、家事と楽器を交互にすることも。
もちろん、妻とトランペット2重奏もできる。
遊ぶことも多いですが、普通に譜読みや練習にも使えるので本当に助かっています。
防音室内では楽器スタンドに置いてあるので、入った瞬間に吹けるのも本当に便利。
新しい楽器を買うのもいいですが、練習できる環境に投資するのもとてもいいですね。
家にスペースあるよ、って人にお勧めです。
引っ越しが大変そうですが…(笑)
ロータリートランペット購入記3 ~開封・演奏編~
シリーズ最終回です!
いざ、開封の儀!
川崎で受取り、抱えて持って帰ってきました。
じゃん!
箱はSchagerl(シャーゲル)のロゴが書いてあります。
あれでも、よく見ると箱にMADE IN TAIWANって書いてある…?
よく見るとサックスの箱でした。
とりあえず送るために使っただけっぽいですね、ふう。
剥がし方雑か!
紛らわしいな!
さ、気を取り直していざ開封です。
プチプチに覆われていますね。
じゃじゃん!
付属品は楽器の袋とオイルと店のオリジナルクロス。
楽器の袋は柔らかめのビロード調で触ると気持ちいいです(笑)
オイルはヘットマンのリンケージオイル#11。
ローターオイルもいるはずなので、買い足さないと…
美しい…
ロータリートランペットってなんかこう、芸術品、って感じがありますね。
その中でもシャーゲルは特にきれい…
ん?わからない?
美しいのは良いんですが、トリガーが買った店のHPに載っていたものと全然違いました…
スライドトリガーがレバー式でなく、ボタン式になってました。
見積には1,3番連動とも書いてあったけど、これは3番のみスライドです。
この辺は買うときに写真とかを貰わなかったこっちのミスですかねー。
レバー式の方が好きなんですけどねー…ちょっと残念。
1,3番連動は正直どっちでもいいかな。
ストロークが短くなるのは良いけど、1番管動くと右手親指にあたって邪魔だし。
ま、どっちでもいいか!
…音さえ良ければ…な!
演奏してみる
結論から言えば、満足できる楽器でした。
これまでに吹いたやつとの比較だと、Kuhnだとベルリンモデルよりドレスデンモデルの方に近いけど、中高音域がこっちの方が華やかさがある感じがします。
C管に比べれば音は明るくないが、ふくよかさの中に明るさがあるサウンド。
ブリリアントという言葉がふさわしい。
でもオーバーラオホとかヴォトゥルーバに比べると、明るさの種類が違う感じです。
それらのウィーン系の楽器?は華やかな明るい音色(パリッとドライな感じさえある)なのに対して、こっちは全体的にしっとりとした中に艶感のある音色(ちょっと暗いとも言う)がでます。こんな音が欲しかったんです。
さらに日本で吹いたシャーゲルの(ヘビーではない)モデルよりは、いくぶんか音の深みがある感じがします。暗いっていうか、暖かみがあるという感じ…?
この辺は、試奏してないけどヘビーならこんな感じだといいな、っていう想定にばっちりでした!
よき!!
楽器は少し重いと思います。
ベルリンモデル特有の、バルブケーシングの両脇がモリッと膨らんだヘビーな仕様になってるんですね。
写真でわかりますかね?
さらにチューニングスライドもオクターブキーが3つも付いていて重めだし。
(管厚は0.5mmだったはずだけど、正直わからん…測れないけど0.45かもしれない…)
まあ全体的にちょっと重い気がする。
ただし、吹奏感はめちゃめちゃ軽い。めっちゃ吹きやすいです。
出てくる音とのギャップが凄いです。
軽く吹いているのに、音は深く鳴ってるっていうね。
これは想定外の嬉しい誤算ですね。
とはいえロータリーなだけあって、楽器に息を入れ込んでいくように吹くと太く鳴る感じがピストンのB管と違いますね。
奥で鳴らす感じというか、少し遠い場所にピークを持ってくるというか、楽器に息を満たすような感じというか。
ピストンだと鳴らしていくときは息を速くして音を遠くに飛ばしていくイメージなんですが、こっちはもっと空間を意識して包んでいくイメージですかね。
凄い言葉にしづらい感覚なんですが、この感覚を身につけて慣れていく必要があるな、と感じました。
あ、あとロータリーワークは今まで試した中で一番軽いです!
ロータリートランペットというとロータリーの動きがピストンに比べて重くて(特に戻りが遅くて)、速指が苦手な印象を持ってたけど、逆です。
ピストンに比べてストロークが短く、なおかつ切り替わりがはっきりとしているため、動きが速くなってもかなりカッチリとしたスラーの音移動が可能です。少し慣れればピストンより指回りそう。
これも想定外、結構衝撃でした。
一時期からシャーゲルはロータリー部分を自前で製造することにしたようで、それは賛否両論あったみたいですが、少なくとも運指は軽くなったそうです。あとは長期使ってみてどうかってところですかね。
追記
やっぱり思ったより音が暗くないので、楽器屋に改めて「これって0.5って送ってきたけど、0.45じゃない?もっかい確認してみて…」と聞いたところ、「ごめんごめん、0.45だったわ!でも値段同じだから大丈夫だよ!」って返事来ました。
いやそういう問題じゃないんだけどな…
音が暗いと感じるのは、きっと試奏したのがC管で、こっちがB管だからだと思います。
今となっては0.5だと暗すぎたんじゃないかと思っています。
ブリリアントな音も出せて、明るめの曲でもこれで行けるので、結果よかったかも。
キイがたくさんついたチューニングスライドも買ったけど
前回の記事で書いた通り、「extra water key」がついたチューニング管いる?と聞かれて二つ返事で購入することにしました。
片方はいわゆるつば抜き「ウォーターキイ」のみ、もう片方はそれが合計で3つついてます。
これはピストンのトランペットにはない機構ですね。
なぜ買ったかというと、安かったから以前チューニング管を変えて試奏する機会があり、チューニング管で音色に大きな変化があり、「extra water key」がついたチューニング管の方が好みだったからです。
つば抜きのみのシンプルなモデルでは、音抜けの良い明るいサウンドだったのに対して、3つキイがついているものは音に深みがある音色になりました。
恐らくはその重量の違いによる響きの変化が大きかろうとは思うのですが、深い音色の方が出る思いチューニング管の方が好みでした。
してこの「extra water key」ですが、オクターブキイまたはレジスターキイと呼ばれる場合があるようです。
本来は高い音を出すときの補助として使われるもので、一般的にはつば抜きがB♭キー、隣にあるのがAキー、一番上のがHiCキーと呼ばれています。もう一つ、更に隣にHキーなるものが着く場合がありますが、今回の楽器にはついていません。
B♭キーはいわゆるシ♭が当たりやすくなり、HiCキーはいわゆる上のド(B管ならハイベー、C管ならハイツェー)が当たりやすくなり、Aキーはいわゆるラの音が当たりやすくなる、との認識でいます。
とりあえずここから先は今回購入したB管の話で、キイ名は変えませんが、音はドイツ音名実音表記で書きますね。
C管なら一音上の話になります。
某日本のロータリートランペット屋さんにはオクターブキーの運指表があり、それによると下記の運指になるそう。
B♭キー:As(五線上第2間)、Hi-C
Cキー:Ges(五線上第1線)、Hi-B
Aキー:G(五線上第1線)、Hi-H
俺が買ったSchagerlのページにも書いてあります。
http://news.schagerl.com/kategorie/artikelprospekte/info_extrakeys_2013.pdf
これによれば、B♭キーはウォーターキイとも、Cキーはウィーンキーともいうみたいですね。あとはドイツ語だとクラッペンともいうみたいです。
当たり前ですけど、オクターブキーのみではその音は出ません。
普通の運指に加えてオクターブキーを押すことで効果があるとのこと。
パッと見で思うのは、音列が運指と関係あるのかな、ってところです。
つまり、B♭キーは1番管使用時、Aキーは1・2番管(3番管)使用時、Cキーは2・3番使用時のキーかなと思うわけです。
吹いた感じですが、特にAキーでG(3番管使用)を吹いたときと、CキーでGesを吹いたときに効果を顕著に感じました。
特にこの辺の音域で管長が長くなるGやGesの場合、抵抗が増えてアタックがクリアになりにくい(雑音が入りやすい)と感じているんですよね。ひいてはそれが外れやすさに繋がってるという感じ。
それがこのオクターブキーを使うと、非常に抵抗が少なくなってすんなりと鳴る感じになります。まるで開放運指で吹いているかのような吹きやすさで、アタックに雑音が入りにくくなります。まあ外しにくくもなってる…かも?
あとは音程が少し上がるため、音程がぶら下がる心配がなくなります。この辺は低めに出ちゃったときに上に補正するのが大変なんで、これも楽に吹ける要因ですね。
B♭キーのAs、Hi-Cについては、もともと管長がそれほど長くないので雑音が入りやすい音とは思ってません。どちらかというと、音のツボが広くなって他の倍音に行きにくく鳴る感じ。1番で出るFis、Hi-B、Hi-Dのツボは狭くなって、代わりにAs、Hi-C、Hi-Esのツボが広がる感じです。面白い。
でも一番メインっぽい、CキーでのHi-Bはよくわかりません(笑)
2,3番で取れば当たりやすくなるのかな?と思うけど、当然開放の方が吹きやすいし。
そもそもBだから開放での音程も悪くないし、外しやすい音でもないし…
Gesキーに名前を改めた方が良いのでは?
この辺は今度まわりの人に聞いてみようかな。
(追記)
しばらく練習してると、Hi-Bの当て方が分かってきました。思っていたところよりも下の方にツボがあったというか、オクターブキーない時よりも低めに(ちょっと違うんだけど)あてにいくと良く当たることが分かりました。やっぱ慣れが大事ですね。
マウスピースはどれがいいの?
マウスピース選びは難航しそう。
シャーゲルはYamaha・Bachシャンクなので、基本的にはピストン用と同じマウスピースが使えます。
逆に一般的にロータリー用と呼ばれるブレゼルマイヤーやシュミットなんかはシャンクが合わないのでしょうか。
手持ちのマウスピースでいろいろ試しているところです。
まずはロータリー用として買ったYamahaの15E4で演奏。
深いマウスピースに独特のコツがいりますが、中低音域はさすがの重厚感でなってくれます。
でも特に上のF以上ぐらいの中高音域になると、音の芯がボケてきてきれいに響かない感じがある。
まえRicco Kuhnを吹いていた時はこんなことはなかったんですが…
Kuhnの時は15E4がベストだと思ったけど、こっちはそうでもないかも…?
ということで、ピストン用の手持ちから色々と比較。
Bachの2Cだと音が明るすぎて薄くなり、ロータリーのキャラクターが薄れる。
でもティルツの1-1/2Cの方は音がそこそこあってる感じがする…?
片っ端から試すと、意外や意外。Bachの5C、7Cの相性が良い。
中低音域のふくよかさはYAMAHA15E4、いわゆるロータリー用のマウスピースを使ったときと比べると薄いんですが、ロータリー用マウスピースではボケがちだった高音域でもロータリーらしい音色がでます。中高音域はピッと吹けば明るめ華やかな音が出るし、太く吹けば柔らかい音も出せて、この辺の音域の音色の選択肢が広いと感じます。
オーケストラのトゥッティでffで鳴らしていくときに表現できる幅が広い、ってのは楽器としてかなりレベルが高いところにありますねー。
それに特に5Cはピストン用として慣れたマウスピースなので吹奏感はもちろん良いです。加えてリムが小さいので持久性も非常に優れていていいと思います。
ちなみにどのマウスピースでも音程は非常に良かったです。
ツボが吹きなれたピストンと違うので、少し音程が崩れることもありますが、楽器が鳴るポイントでロングトーンした場合はおおむね合格範囲。
下のCが3番管抜かないと高かったり、上のDがぶら下がり気味になるのはまあピストンでもままあることですし、一般的なB管という感じ。
にしても、5Cの何が良かったんだろう…?
普通はロータリーはリムが大きい方がいい、とかカップが深い方がいい、とかスロートやバックボアが太い方がいい、なんて言いますが、Bachの5Cはどれからも結構外れているにも関わらず、相性がいいと思いました。
もう少し暖かい(暗い)音色に寄せた方がよりロータリーらしくなる気もするんですが、どこを変えればよいのかが見当ついてません。
やっぱり俺は3Cから5Cぐらいの中庸な(大きくない)リム径が向いてるのかと最近は思ってるわけですが、ロータリー用だとこの辺のマウスピースの選択肢が少ないんですよね。
そもそもブレゼルマイヤーもシュミットも良く知らんから、あるのかどうかも良くわからないけど…
あとはシルキーMOSTの3,4番とか?
JKとかBachのカスタムも選択肢に入るかな…
とりあえずBachの5番系統(5A、5B、5MV、5V)あたりで比較検証してみようかな。
リム径はあんまり大きくせずにロータリーらしさを少し増せるといいな。
ゆっくり付き合って、ベストな音を探していきます。
とりあえず5Cで慣らしてみよう。
全然一般的じゃない気がするので、型番だけ言うと否定派多そうだけど。
(追記)
数週間吹いてみて、5Cも相変わらず悪くないんですが、15E4でもツボが分かってきました。
やっぱりピストンで15E4を吹いているときとは全然違う、 楽器に「合っている」感じがあります。
5Cはロータリーでもピストンに近いところに音のツボがあるんですが、15E4だとツボの位置が全然違う。とはいえ、5Cで一度慣れると楽器のクセもわかってくるもので、15E4に変えても楽器のクセを折り込んで考えられるようになるため、数日間吹くとポイントが分かってきます。うまく言語化できないのが悔しいところですが。
15E4は確かに深いマウスピースですが、思ったほど暗い音にはならないことが分かりました。どちらかというと、太い音という感じですかね。中低音部では暗く深い音も出せますが、明るいバリッとした音も出せます。5Cではこうはいかず、暗い音が出せません。
15E4は当然リム径は5Cより大きい(2C相当らしい)のもあって、5Cよりは持久力に問題があります。今度吹くチャイコの悲愴を吹ききるのがギリギリかなーという感じです。3楽章が大変なのよね、あれ。5Cなら問題ないんですが、15E4だとちょっと大変。もう少し慣れれば余裕持って吹けそうかな。
トランペットは楽器の持ち替えに際して、同じマウスピースが使えることを重視したり、近しいマウスピースを使いたがる人が多い印象にありますが、俺はどちらかというと、楽器が変わるとマウスピースもガラッと変わって欲しい派です。
逆にマウスピースが同じまま別のことを吹こうとすると、中途半端になっちゃう感じというか。
ま、吹ければ正直なんでもいいんだけど(笑)
かぞくが増えたよ!
これからたくさん吹いて、自分の一部になるように付き合っていきたいと思います。
シャーゲルさん、これからよろしくね!
それと今回初めてトランペットを個人輸入しました。
リスクもありますがロータリートランペットは海外ではびっくりするぐらい安いのでお勧めです。
特にB管ロータリーの購入を考えている方はぜひ検討してみては。
ロータリートランペット購入記2 ~購入・輸入編~
前回の続きです。
楽器屋から請求書を貰う
悩んだ結果、海外の楽器屋から買うことを決めました。
Schagerl(シャーゲル)のB管、シルバープレートです。
探してみると、オーストリアの店は全然ネットショップとか在庫状況が書いてなくて、ドイツの店がいっぱい出てきました。
にしてもドイツの店はほとんどB管ですね。C管はあんまりでないんですかね。それに、ネットショップはピストンの方が多い。
お店に連絡して、発送に関する質問や商品に関する質問を何度かして、これは欲しいぞ、となり…
見積をもらいます。
モデル名はベルリン。 シルバープレートでB管です。
ベル径132mm(137mmが大きい方で、こっちは小さい方)で、管厚は0.5mm(0.45mmが標準で、こっちはヘビーな方)です。
流行りの1,3番コンビトリガー付きです。
シャーゲルのシルバーは日本じゃあんまり見ないかもしれないですね。ほとんどゴールドプレートだと思います。
にしても安いですねー。
3500ユーロですってよ、奥さん!
日本の定価が100万近いことを考えると、実売でも倍半分ぐらいの差があるんじゃないでしょうか。
前の記事にも書きましたが「日本で使うからドイツの消費税を抜きにした見積もりを下さいな」っていうだけで、19%オフになります。こりゃ凄い。
ちなみに見積もりを見るとわかりますが、楽器とは別になんと、チューニングスライドも付けました。
見積を欲しいって言ったら、「なんかツバ抜きついた予備スライドあるんだけど、いる?210ユーロ。」との連絡。
え、210ユーロ?カスタムチューニングスライドとか普通は3万ぐらいでわ…やしゅい…とりあえずください…
ってなっちゃいました。
なるよね普通。
うんうん。
注文すると、カードは不可で海外送金にしてほしい、と。
PayPalも選べるそうですが、その店はなんと手数料が別途260ユーロ!!
こっちは高いんかいな!
そんなん海外送金にするしか…
でも調べてみると、海外送金ってただの銀行振込とは違うようで。
せっかく楽器を決めたのに、また調査の始まりですよ。
海外送金って…?
送金手数料、外貨建て払い手数料、こっそり通貨レートが高くなる裏手数料など、海外送金にはいろーんな手数料がかかります。
数千円~ぐらいが手数料の相場みたい。え、めっちゃ高くね?
でもって、場所によって送金の手数料が違うわけです。
となると、これもいろいろ調べますよね。安い方がいいし。
まずは自分のメイン口座がある赤い銀行を見てみます。
外国送金手数料 他行あて3,000円
外貨取扱手数料 外貨預金から外貨建て(同一通貨)で送金される場合には上記手数料に加え、外貨取扱手数料がかかります。
送金金額の1/20%(最低2,500円)
高い。こりゃ高い。
一方で、予備口座の楽○銀行ではちょっと安そう。
それでも高いけど…
ネットで調べてみると、Transferwiseがいいっていう噂。
ただ、シミュレーションの結果だとあんまり変わらない?
結局数千円ぐらいはかかるのね…
ってことで、既に口座のある銀行から振り込むことに。
ちょうど米中の争いが一番激しく、韓国が謎の対応をしたりで円高が進んでるいい時期。
さっさと払おう!と思ったんですが、マイナンバーの登録が必要とのこと。
マイナンバー申請、登録まで3日待ち。
登録完了の連絡後、送金申請をしてから着金まで3日待ち。
スケジュールはこんな感じ。
8/21見積もり依頼、受領
8/22海外送金トライ&失敗。マイナンバー登録申請。
8/26マイナンバー登録完了。海外送金申込。
8/29着金確認連絡。発送連絡。
こうしてみるとドイツの楽器屋さん、神対応ですね。
見積依頼も発送も即日。Amazonさんかな?
なかなか日本にたどり着かない!
発送連絡と共に、トラッキング番号が送られてきます。
もうここからはね、毎日チェックですよ。いや、毎時か?(笑)
29日に発送される。ドイツのDHLからです。
DHLといえばドイツの宅急便会社ですが、よくよく調べてみるとドイツでは郵便(ドイチェポスト)の代理をしているらしい。
でもって、俺の「CY123456789DE」みたいな追跡番号は、どうやら宅配便じゃなくて国際郵便のようだ。
多分遅くても2週間ぐらいで来るのかな?早ければ1週間ぐらい?
それがなかなか…
8月31日 荷物がLahr(ラール)に到着
2日ぶりに動いたと思ったら、結構北まで来たぞ?なになに?ケルンとかでも行くんかいな?
8月31日 荷物がBruchsal(ブルッフザール)に到着
んん?
なんか戻ってね?大丈夫か?
9月2日 Rodgau(ロートガウ)に到着
調べてみるとDHLの国際配送センターがあるそうだ。
どうもフランクフルトから空路でくるっぽいけど、この辺で調べているとドイツのDHLは遅い、届かない、と言ったブログをたくさん見つけました。不安…
なかなかドイツを出発してくれなくて俺も不安なんじゃ…はよ…
9月3日 フランクフルト到着
フランクフルトを旅立ちました!
そわそわ…
そわそわ…
そわ…
そわ…
届かねえええ!
追跡DBという、ドイツから日本に発送された荷物が届く日数がどのぐらいかが分かるデータベースがあります。
https://tuisekidb.com/germany-japan
これによると、フランクフルトを出てから大体4-8日で日本に到着するのが多そう。
でもう8日…
台風もあったけど…
9月12日 日本に到着
長かったー!
郵便局から速達で送られてくる。
やっぱり手続きが必要らしい。
輸入は手続きが必要なの!?
あんまり日本に届かないので、日本に来たらどうなるのか、ということについても調べ始めました。
関税はいつ払うの?
とまあいろいろ調べてると、通関手続きについて、結構ややこしいことになっていました。
今回は20万円を超えるため、下記が該当します。
2.課税価格が20万円を超える場合(申告納税方式が適用されます)
外国から課税価格が20万円を超える郵便物が日本に到着すると、郵便物の受取人に郵便事業株式会社から通関手続の案内文書が送られます。
案内文書が送られてきたら、「仕入書」など輸入(納税)申告に必要な書類を揃えて、郵便事業株式会社や他の通関業者に輸入通関手続を依頼するか、ご自身で郵便物が保管されている通関支店を管轄する税関外郵出張所に出向いて輸入(納税)申告を行ってください。
輸入(納税)申告を行う際には、申告書や仕入書等の書類を税関に提出する必要がありますので、あらかじめ用意しておいてください。
関税等の税金を納付した後に、輸入が許可されると、郵便物が受取人に配達されます。
この「郵便事業株式会社や他の通関業者に輸入通関手続を依頼」が曲者ですね。
しれっと書いてあるけど、高い!
そこで考えた…
今週末は演奏会があって川崎の近くで朝まで飲む。翌日は平日で有給取ってる。
なんてちょうどいいタイミング!
いい機会だし、社会科見学も兼ねて、出向いて自分で通関申告をしてみることにしました。
必要書類について調べてみると。
輸入申告は、必要事項を記載した「輸入(納税)申告書」を税関長に提出することにより行いますが、輸入申告書のほかに次の書類の提出が必要となります。
2航空貨物運送状
3保険料明細書
4運賃明細書
5包装明細書
輸入(納税)申告書って何?
3-5がないのですが?
よくわからんので、川崎外郵出張所に電話して聞いてみることにしました。
でも全然繋がらない…
数回電話して、ようやくつながりました。
現地の端末で申請して、問題なければその場で関税等支払い、荷物を受け取れるそうです。
その際には、インボイス(領収書)、追跡番号、顔写真のある身分証明書、一応印鑑、関税等の現金を持ってきてくださいとのこと。
また、来てもらっても端末が一台しかないため、待ってもらうことになってしまう可能性があるため、事前に予約してほしいとのことで、川崎外郵出張所 特別通関部門(044-270-5768)を案内されました。この辺も事情を伝えて問題なくアポ取り。特通は電話すぐつながりました。
飲み会の翌日だし、ちゃんと時間通りに行けるかどうかは怪しいのだけど…
受け取り!
そして演奏会の翌日。朝9:30ぐらいの川崎発のバスに乗ります。
バスは謎の工業地帯行きですが、意外と乗ってる人は多い。
揺られること30分。工業地帯を超えて、倉庫街みたいなところのバス停のすぐそばに川崎外郵出張所があります。
入るのにインターホンがある。
5階に来てくださーい、とのこと。
5階のどこだよ!と思って探していると、それらしきものが。
小さなカウンターと職員が3名ほど。脇には年季の入ったノートPC。
ノートPCの専用フォームから手続きを行います。
マニュアルを見ながら、わからないところは職員に相談しながら。
PCは写真を撮るなとのことで、代わりに窓からの風景。
コンテナたくさん。
これ職員の車かと思いきや、アジアで人気の輸出向け中古車だそうで。
たしかによく見るとナンバープレートない…
他にも麻薬取り締まりの話とか、沖での荷物確認の話なんかも聞くことができました。
職員の人と一緒にエラーメッセージと闘いながら、1時間ほどで処理が終わりました。
楽器は無税だし手続きも楽なんで、自分でやるのがおすすめですとのこと。
逆に服の詰め合わせとか、材質によって税率が変わるようなのだと、かなり大変ですよ、と。
通関手続きが終わると、関税の支払いです。
楽器の場合は関税はかからず、消費税のみを支払う必要があります。
それも個人使用の場合は優遇措置があり、商品価格の60%にかかってきます。合計2万円ちょいでした。
その場で支払うと、税関に郵便局の職員がきて、この後どうしますか?とのこと。
家まで届けてもらうのもできたんですが、早くほしかったので郵便の窓口で受取って持ち帰ることに。
郵便局はめちゃでかいのに、窓口はやたら小さいですね。人もいない…
電車で持って帰りました(笑)
結局、8/29発送、9/17受取でした。到着まで20日。
結構かかったねー。
DHLのトラッキングはこんな感じ。
Tu, 17.09.2019 18:19 --
The shipment has been successfully delivered
Tu, 17.09.2019 18:14 --
The shipment is ready for pick-up by the recipient. The recipient has been informed.
Tu, 17.09.2019 18:09 --
The shipment has left the import parcel center in the destination country/destination area.
Tu, 17.09.2019 18:08 --
The shipment has cleared customs in the destination country/destination area.
Fr, 13.09.2019 16:00 --
Shipment is prepared for customs clearance in the destination country/destination area
Fr, 13.09.2019 15:59 --
Shipment is prepared for customs clearance in the destination country/destination area
Th, 12.09.2019 20:45 --
Shipment is prepared for customs clearance in the destination country/destination area
Th, 12.09.2019 18:27 --
The shipment has arrived in the destination country/destination area
Tu, 03.09.2019 17:13 IPZ-Ffm, Germany
The shipment will be transported to the destination country/destination area and, from there, handed over to the delivery organization. (Homepage / online shipment tracking: https://trackings.post.japanpost.jp/services/srv/search/input?locale=en)
Mo, 02.09.2019 08:25 Rodgau, Germany
The international shipment has been processed in the export parcel center
Sa, 31.08.2019 21:14 Bruchsal, Germany
The international shipment has been processed in the parcel center of origin
Sa, 31.08.2019 03:17 Lahr, Germany
The international shipment has been processed in the parcel center of origin
Th, 29.08.2019 23:57 --
Pick-up was successful.
Th, 29.08.2019 20:03 --
The instruction data for this shipment have been provided by the sender to DHL electronically
郵便のトラッキングはこっち。
「通関手続中 」と表示された翌日には、郵便局から速達で通関手続きに関する書類がポストに届いていました。
そこからFaxで郵便に委任する旨を伝えて、Pay-easyで手数料と関税を払えば通関手続きはそのまま終了することもできました。
そうしていれば、多分最速で9/14国際交換局発送できてたと思います。9/14-16は忙しくて受け取れなかったので、結局受け取り日は変わらないですが。
次回最終回、開梱・評価編ですっ!
ロータリートランペット購入記1 ~探索・決断編~
楽器が欲しい!
最近やったオーケストラでは、周りがロータリートランペットを吹いてるんですよね。
突き抜けるような音よりも、オーケストラを包み込むようなトランペットの音。
以前日記で書いたのは「オーケストラで突き抜けるようなサウンドが欲しい!」ということでC管トランペットを買ったことですが、最近は「曲によっては包み込むようなサウンドも出したい…」と思うようになりました。
周りで吹いているのを聞くと、その魅力がどんどんわかってきます。ああ、こうやって音を出すと、オーケストラとこう混ざるのね。ああ、これもありだなあ、と。
ぐんぐんロータリートランペットが欲しくなってきます。(ピストンC管もまだそんなに吹いてないのに…)
よく言われるのは、ドイツ・オーストリアが作曲者の時はロータリートランペットの音色を想定して書かれていることが多い、とのことです。そんな曲めっちゃ多いじゃん。
なので、そういう曲をやるときはロータリートランペットを使う人は多い(らしい)。
それから、ドイツ・オーストリアではプロからアマチュアまで基本的にロータリーを使うとのこと。
ちなみにオケ界隈では、ピストンのトランペットを縦、ロータリートランペットを横と呼ぶことが多いです。構え方の差です。通っぽい。
で最近は、ロータリートランペットが必要だなあ、と思う出来事もあったことで、物欲がムクムクと膨らんできてたくさん調べて探しました。
メーカーが多すぎる…
探そうとしました…が。
全然バックやヤマハみたいな「みんな使ってるからとりあえずこれ買っとけ!」みたいなメーカーがないんですよね。
工房で職人さんがコツコツ作っているような感じ。
だから、どこのメーカーの楽器を買うか、凄く悩みます。
そんな中でも調べていくと、レヒナーとシャーゲルというのが2大工房のようなイメージを持ちました(賛否あるとは思いますが…)
縦トランペットでいうシルキーとバックみたいな感じでしょうか?
数十年前はヘッケル・モンケという2大メーカーがあったようですが、今はほとんど売られてない。その辺は職人の引退とかそんなのでコロコロ変わるのかもしれません。調べたけどよくわからんかった。
後はメジャーどころでヴァイマン、タイン、ガンター、シェルツァー、ウェーバー、ヴィレンベルグ、ドーヴィッツ、チェルベニー…出てくる出てくる。もちろんヤマハも。
周りはリコキューン(ホルンの方が有名ですかね)を使っている人が多いです。これもとってもメジャーどころ。最近人気らしい。
楽器がドイツで賞を取ったとかなんとか。
価格もレヒナー・シャーゲルに比べれば少しお買い得。
ちなみにロータリートランペットって基本的にめちゃくちゃ高いんですよ。
ピストンはバックとかヤマハが30-40万円でプロレベルの楽器が買えますが(俺が買った20年前は180MLが20万以下でしたが)、ロータリーは50-100万円ぐらい。高すぎる。とにかく部品が多いのと、工房が小さいため大量生産しないからっぽい。
これがまた悩みを加速させますね。大きい買い物こわい。
ロータリートランペットを選ぶにあたっては、まずタイプを考えるのがいいのかと思います。
大まかに分けて、ふたつのタイプに分かれます。
華やかで明るいウィーンタイプ。ベルが小さい。
太く重厚なベルリンタイプ。ベルがでかい。
最近は中間ぐらいが流行っているらしい。
ベルリンタイプのスモールベル、とか、ドレスデンモデル、とか、名称は様々ですが、そういう感じが人気だそう。
いろんな人に聞いた感じだと、ウィーンタイプは音がコンパクトで室内楽むき、ベルリンタイプは音が太く大きいのでオーケストラむきのような感じ。オーケストラにおいては古典だとウィーンが向いててロマン派だとベルリンとも。
近年では、ベルが大きいベルリンタイプは音が暗くて輪郭が曖昧になりやすいという認識のもと、中間が人気という話だったけど、ソースによっては、関東はベルリンで関西はウィーンが人気、とかもありました(笑)
ところでウィーンとベルリンってクラシック音楽の二大巨頭っぽいですけど結構違いますよね。京都と東京みたいな感じ。
ウィーンフィルとベルリンフィルを聞き比べてもすぐにわかります。
でもトランペット好きはだいたいベルリンフィル派かと思います。金管アツいですよねー
(個人的にはシカゴ響万歳!派でしたが…)
楽器もまさにそんな感じで。
ちなみに、自分が2大メーカーと感じたレヒナーとシャーゲルは、
オーストリア、ウィーンはレヒナー(Lechner)。
ドイツ、ベルリンはシャーゲル(Schagerl)。
という感じです。シャーゲルはウィーンモデルもあるけどね。どっちもオーストリア製だけどね。
試奏の旅へ
包み込むような音が欲しい、ウィーンフィルよりベルリンフィルが好き。
ということで、ベルリンモデルか、ウィーンとベルリンの間ぐらいのモデル、を探すことにしました。
2大メーカー(?)でいうなら、レヒナーよりシャーゲル。
ベルリンフィルの多くの首席奏者が使っていて、憧れます。元ウィーンフィルのハンスガンシュが使っているのでも有名。ネームバリューがあってミーハーホイホイ。ただし高い…
ということで、様々な試奏をしてみました。
ただしピストンと比べて数が少ないです。そもそも置いてない楽器屋もあるし、楽器屋ごとに置いてあるメーカーも全然違うし…大変でした。
基準はここ
まずは知り合いのリコキューンT053。
https://www.ricco-kuehn.de/1/instruments/trumpets/c-trumpets/
その音ばっかり聞いていたので、イメージはこれがスタンダードになってます。
吹いたのはB管ベル130mmのドレスデンモデルとC管ベル132mmのベルリンモデルです。
ちなみにベルが大きいのがベルリンモデルで、小さいのがドレスデンモデルだそう。ドレスデンがいわゆる中庸なタイプですかね。
B管は一度演奏会で借りてブラームスを吹きました。このときに音色が凄くハマる感じがして、楽器が欲しくなっていくわけですが。とても太くて豊かな「これがロータリーか!」って音でした。
他の多くのロータリートランペットはピストンのマウスピースがうまく刺さらない(シャンクが違う)のですが、リコキューンはバックのマウスピースが刺さる設計になっており、自分のバックのマウスピースで吹くことができました。実際に1 1/2Cで吹くことが想定されているらしい。
最初は2Cで吹いてましたが、でも途中からヤマハの15E4に変えて吹きました。ロータリー用のマウスピースだと全然違いますね。ピストン用のマウスピースでは楽器の音色を引き出せていないと思います。
ロータリー用のマウスピースを使ったときは包み込むような音色で、ティンパニーと凄くよくアンサンプル出来ます。
音程も悪いところがなく、いいなあと思っています。
これをベースに、色々吹き比べました。
ヤマハ
ふらっと銀座のヤマハに行って、YTR-938FFMSを試奏。
B管で、ゴールドブラスとイエローブラスの楽器を吹きました。
この楽器はベルが大きいベルリン系のモデルだと思います。
音が暗くなりすぎないようにということで、黄ベル製モデルも準備しているのかな?
世のロータリートランペットはそのほとんどが赤ベルだと思います。黄ベルは珍しい。
やっぱり自分にはちょっと明るくて、俺は暗い音色を求めてるんだなあ、と再認識しました。
赤ベルの方はいい楽器だと思いました。音程いいし音色もそれっぽい。
でもなあ、良くも悪くもヤマハって言うんですかね。
クセが少なすぎるというか、優等生過ぎるというか。
まさに楽器界のトヨタ、色気が足りない感じがするんですよねー
これよりキューンの方が良いなあ。値段も60万ぐらいで変わらないし。
レヒナー
それから知り合いにレヒナーC管を借りて吹いてみました。
とにかくお上品。ffまで吹き込んでいってもバリッとした音にならず、しなやかさがある。
素晴らしい楽器だとは思いますが、暗さはあまりない。音もコンパクトにまとまっていく感じ。
ウィーンフィルってこんな感じだよなあ、とは思いつつ、自分のイメージするロータリーを用いたオーケストラのサウンドではないことに気付く。
ソロとかはいいと思うけどね。
いや、めっちゃいい楽器でしたよ。好みの問題ね。
新品で買うと100万近くするっぽい。恐ろしい子…!
リコキューン
新大久保の某楽器店で試奏。
130mmベルのドレスデンモデルと140mmベルのベルリンモデルを吹き比べ。どっちもB管。
130mmは借りて吹いたのと同じで、やはり吹いた中ではかなり自分のイメージに近い音。
だったのですが、140mmベルのベルリンモデルはもっともっと暗く、全体に広がる音でした。
これを吹いた後だと、130mmの音は大分コンパクトに感じます。
ベルリンモデルは少しダーク過ぎて、ホールで音が飛ぶかどうかが心配ではありますが、かなりキャパシティも大きい楽器で、吹き込めばホールを包み込めそうな太い音でした。
ベルリンモデルが第一候補です。
60万円ぐらい。他のを見るとお買い得っぽいけど、それでもやはり高い…
でもコスパで考えるとこれかなあ…
シャーゲル
シャーゲルはウィーン、ベルリン(ヘビー)、ハンスガンシュ(ヘビー)と凄くたくさんのモデルがあります。
https://schagerl.com/meisterinstrumente/instrumente/drehventile/
ハンスガンシュモデルはスペックだけ見るとしっかり系でベルリンに近い。むしろベルリンのMLボアに対してガンシュはLボアなので、ウィーン系とは違って重めの楽器にしてるけどボアを広げて明るい音が出るようにしてるのかな?という印象です。
自分の中では、ベルリンヘビーが第一候補。こちらも楽器屋で試奏しました。
ベルリンB管GP:全体的にかなりしっとりとした音色。暗いというほどではないが少し明るい。中音域のロータリーらしい柔らかい音色と、高音域は明るい音色。高音は出しやすいが輝かしくなりすぎないところも良い。フルキー付き主管抜差管にすると音が落ち着く(5万ぐらい上がるが)。
ベルリンヘビー C管GP:明るくクリアな音色の中にしっとり感がある。暗さはないが包み込むような音色はやはりロータリーのそれ。高音域の出しやすさがすごい。C管は少し音が軽い感じがする。
シャーゲルはメーカー的な憧れもあるし、ベルリンモデルは音も暗めだが高音域に華やかさもあっていい楽器だと思いました。吹いてないけど、やっぱりB管のヘビーにすると明るさが更に抑えられていいんじゃないかな、という感じ。しかしいずれも80万ぐらい…高い…
その他吹いた楽器
ドーヴィッツ:キューンのドレスデンモデルに似てる。それよりは少し明るいサウンドと思ったけど、人によって変わるレベル。
ヴォトゥルーバ:中低音から高音までクリアな音。ウィーン系で華やかな音色。
オーバーラオホ:キューンと同じぐらいの価格帯でお値打ち感はある。楽器の作りは良いと思うが明るい鳴りで第一印象からこれじゃない感。
チェルベニー:20万ぐらいで安い。いわゆるスチューデントモデル。音色の奥行きに欠ける。音程はそこそこ。とりあえずロータリー持っておきたい…ぐらい用と思われる。
B管かC管か
これも実はすごく悩んだ事柄。
国内外のプロオケはほぼC管。ドイツでは一時期オールB管の時代もあったらしいが。
アマチュアも基本的にはオーケストラで使うので、日本で流通しているのはC管がほとんど。
一方で海外のアマチュアはB管使う人の方が多いらしい。日本ほどこだわりがないとかなんとか。
俺が使うのはオケだしやっぱりC管…?
でも吹いてみた感じ、C管は明るく華やかな音が出がちで、B管は太く暗い音色が出る。B管が凄く好み。
特に俺は普通に吹くと非常に明るい音色が出るタイプなので、C管を吹くと明るくなりすぎてしまう。軽くきらびやか過ぎてロータリーっぽくないような気が。ロータリーを吹くならB管の太くて暗い音でも、俺の本来の明るいサウンドと中和してむしろ周りのC管に音色は併せられるのでは?
でも周りがC管だと音程合わせるのが難しくなったりするかもしれない…
それから音色に加えて、普段吹奏楽やらジャズやらバンドでB管を吹く機会も多く、慣れたB管の方が吹きやすいと思う。シャープ系の調も苦ではないし、in Cとかin Aの読み替えとかそんなに苦じゃない。かつ、正直高い音は割と自身があるので、高い音を出しやすくするためにC管っていうのも違うな、と思いました。
ということで、やはり買うならB管を買おう!と決意。
キューン、シャーゲルあたりの重めのB管かな…?
どうやって買う?
まずは予算決めです。
出来ればピストンと同じぐらいの、30-40万円ぐらいで買いたいな、って思いますよね。
でもやっぱいいのは60万円以上するし、いい方法はないかと考えます。
まず新品で買わない、というのが候補にはいります。
中古での購入を検討しました。
ロータリートランペットは国内の流通量が少ないからか、はたまたコミュニティが狭いためか、中古市場というよりも、個人間の譲り合いもありそうです。
楽器屋の中古もそうですが、知り合いの知り合い、ぐらいまで伝手を伸ばせば、かなり安く手に入る可能性がありそう、というのが分かりました。
とくに海外のプロの放出品とかが結構日本に入ってきているようで、その辺を紹介してもらう、というのを考えました。
しかし、中古は求めるメーカーやモデルがすぐに出てくるとは限らないし、場合によってはへたってたり変な癖がついてたり、という可能性もあり少し気になります。
出来れば新品で買いたいけど、値段がね…
となると次に考えるのは個人輸入です。
ロータリートランペットは、全体的に本国の定価に比べて国内の定価がとても高い、という問題があります。
例えばシャーゲルは本国だとベルリンヘビーモデルの定価4,140ユーロ。日本では定価855,300円。リコキューンはT053が定価3,860ユーロ。日本では定価743,040円。日本だと実売価格は2割引きぐらいですかね。それでも高い。
4000ユーロなら出せるんじゃね?とおもい、メーカーからダイレクトに買うことを考えました。しかしメーカーに頼んでも、日本の代理店があるから、と直接売買を断られるケースがほとんど、ということです。
そこでちょっと抜け道を探しました。
海外の楽器屋さんから安く買えるんじゃないか?
ネットで検索すると、いくつか楽器屋さんが出てきました。ドイツ語で。
ほとんどの店はロータリーなんて受注生産なのか在庫なしでしたが、いくつか在庫があるところを発見。
その中の店にメールを送って確認すると、日本に配送してくれるところを見つけました(ほとんどはEU圏内まででしたが)。
ちなみにドイツの消費税は19%ですが、日本に持ってくる場合はドイツの消費税は免税されます。
となると、凄い安くなるんですよ。ネットの売価(ほぼ定価だけど)の19%オフ!
キューンなら3250ユーロ、送料が50ユーロ。
シャーゲルでさえ3500ユーロ…
え、安くね…!?
ちなみに日本に入ってくるときに、関税と消費税が(商品価格×0.6+関税)×8%でかかります。
楽器は関税がかからないので、日本に入ってくるときは0.6掛けの消費税のみ。
キューン40万??憧れのシャーゲルでさえ45万以下なの??
ということで、新品のシャーゲル ベルリンヘビーが第一候補に急浮上。
リコキューンのT053Cベルリンモデルが第二候補。
続いて紹介で中古を手に入れる、という優先順位に。
不安があるとすれば、やはり楽器の個体差。
ピストンだとバックなんかは個体差が大きく、あたりを掴めないなら安定したヤマハを買った方がいいと思うぐらいブレます。
試奏せずに買う、というのはなかなかリスキーですよね。
とくにシャーゲルのベルリンヘビーは同モデルの試奏さえできてないし…(ヘビーじゃない方のGPは試奏した)
でも詳しい人に聞くと、シャーゲルの個体差はどうも比較的小さいらしい、という情報が。
それにロータリートランペットなんかは受注生産も多いので、新品購入時に複数本から選定しないことも多そう。
加えてこれだけ安く買えたら、よしんば合わない楽器を買ってしまったら売って買い直せばよいのでは…?
ということで、リスク承知で海外から購入です。
ちなみにメールしている感じは店員さんはすごく親切で良い人なので、某アジアの通販のように「届かない!」とかのトラブルリスクはなさそう。
ただしその店は購入にカードが使えないっぽく、銀行の海外送金が必要とのこと。これが面倒くさいし、手数料が数千円ぐらいと高かった。でも国内で買うのに比べれば、全く大したことはない。
メールで注文して、海外送金して、首を長くして待ちます。
待ちきれん…何度もトラッキング情報を確認してしまいますね。
楽器が来たらまたレビューします!
つづき
C管トランペット購入記
とうとう買ってしまいました。
C管トランペット。
Bach C180L 239/25C GPです。一緒に写っているのは、普段使っているB管、Bach 180ML SPです。
バックの中でも(たぶん)一番標準的なモデルである、239ベルのゴールドプレートモデルを購入しました。
バックのトランペットは値上がりが凄まじく、18年前に初めて購入したストラッドの180MLなんかは倍近い値段になっています。
それに加えて、金メッキのお高いモデル…
久しぶりの大きな買い物に震えました。
さて、今回C管を購入したのは、もちろんオーケストラのためです。
大学4年に一度オケをやってから、またやりたいと思っていたのですが、最近ようやくその機会に恵まれ初めまして。
ずっと吹奏楽畑にいると、オケはオケの人脈で人を集めてしまうので中々オケに参加できるチャンスがないんですよね。
この前行ったオケは、室内楽サークルが立ち上げた楽団だったので、弦楽器と木管楽器(ホルンも)はいるけれど、金管が足りてない楽団でした。
めずらしくトランペットの枠が空いている楽団だったので、参加することができました。
そこで知り合った人からも、別のオケに呼んでもらえそうなので、これからはオケもしっかりやれるかな、と思っています。
閑話休題。
でもって、オケでトランペットを吹く場合、多くの場合でC管トランペットを演奏します。
楽譜が吹奏楽と違ってB管向けに書かれていないので、読み替えが楽になる、とも言われています。
俺はB管で吹いていて、そんなにそこは重要な要素とは思いませんでしたが、C管は欲しいと思いました。
その理由は、「音色」と「セクションの音程」です。
C管の方が、明るい音色と一般には言われています。
吹いてみるとB管よりも明るく、良く通る音だと感じます。全体とのブレンド、というよりも、一歩前に出られる音。
この、一歩前に出る、というのがとても重要だと思っています。
オーケストラのトランペットは、ダイナミックでドラマティックな演出によく使われると思っています。
クライマックスの盛り上がったところとか。
そういう、他の楽器もしっかり鳴らしているところで、弦楽器セクションの後ろから埋もれずに音を飛ばす必要があると感じました。
これは、きっと思い描くC管で吹いたら効果的だろうな、と。
音程については、オケの他の人がC管を使っていて自分がB管だと感じるところです。
例えば基本的にトランペットはミの音が低くなるんですが、低くなるのはB管だと実音D、C管だと実音Eになるんですね。これが違う楽器を使っていると、音程のクセが違うのでピッチを合わせづらい。
C管がスタンダードだし、揃えた方がいいな、と感じてました。
というわけで、C管探し。
ここ半年ほど、どんなモデルがいいかをずっと探し続けていました。楽器屋を見に行っては試奏を繰り返し、先日ようやく「これだ!」と思える楽器に出会ったので購入しました。
楽器屋は下倉楽器(お茶の水)、トランペットステーション(渋谷)、ウインドクルー(新大久保)あたりを中心に、お茶の水や新大久保では周辺の他の楽器屋でもとにかく吹いてみる、という感じで回っていました。
購入したモデルのレビューと、他に検討したモデルの中で記憶に良く残っているもののレビューを残しておこうと思います。
基本的に使用したマウスピースはBach 2C。一応吹奏楽でメインで使用している、Bach 5Cも持っていき、それでも試奏しています。
試奏のポイントは、見た目、持った時の重さ、ピストンの軽さ、抜き差し管の動き、中音域のmf音色、高音域のff音色、ファンファーレを意識した強いアタック時の反応、最大音量での音色、音域を広く振った時のリップスラー等コントロールのしやすさ、どれだけ暗い音色を作れるか、ppp演奏時の楽器の反応、HiC以上の高音域の音色と出しやすさ、上のE・Esの開放・替え指でのピッチあたりなんかを見ているつもりです。
Bach 180L 229/25H SP
通称「ハーセス管」。シカゴ響の故アドルフ・ハーセス氏がかつて使っていたモデルとして有名で、多くの人が憧れをもって買う、C管の2大定番モデルの一つです。しかしこれと239/25Cが2大定番と思っていましたが、後述するように239ベルは全然在庫が見つからなかったので、229/25Hの方が定番なのかも?ハーセス氏は俺の最も好きなトランペット奏者の一人なので、やはり憧れもあり、真っ先に試奏しました。
吹いてみると真っ先に思うのが、昔バックのメガトーンを吹いた時のように、息が取られる感じでした。Lボアだからなのか…?25Hマウスパイプが太いからなのか…?音色は中音域ではかなり明るくなると感じますが、特に上のG以上をフォルテで鳴らしていったときに、音が開いていってペラペラになってしまいました。もともと俺がB管でかなり明るい音作りをしているためか、明るくなりすぎてしまった、という印象です。息の取られ方も相まって、コントロールしきれない楽器だと思いました。
一方でゴールドブラスベルなら音が少し暗くなってフォーカスする感じになるかと思い試奏すると、まあ期待通り音が少しまとまる感じがありました。しかしやはり息がよう抜かれ、コントロールが難しい。Gより下の音ではかなりバックらしいリッチなサウンドも作ることができるとは感じました。しかしやはり気を抜くと音が開く…。
Bach C180SL229PC
通称フィラデルフィアモデル。昔のバックの復刻版とのことですが、いかに。
上記のハーセス管とかなり近いフィーリングです。実際設計が近い。息はやはり取られる感じだけど、ハーセス管に比べればマイルドに感じました。こちらの方が音が開きにくく、コントロールしやすいのではと感じましたが、これはモデルの差か個体差かわからない…。そして合わせて、楽器の鳴りも大人しくなっている感じがしました。ちょっと鳴りが物足りないかな、という印象です。しかし、そのわりにB管と比べるとどうにも息が取られる感じは否めず、購入は見送り。
この辺で、BachのC管はあんまり良くないんじゃないかと思い始めます。HPを見る限りでは、世界のトッププロはYamahaの方が多いのかな?という印象があり、加えてシカゴモデルが評判良さそう。なので、C管はやっぱりYamahaだ!という気持ちになり、ここからYamahaにフォーカスして楽器を探し始めました。
Yamaha YTR9445CHS
Yamahaのシカゴ響モデル。オールドBachのコピーをベースに、現シカゴ響ハグストロム氏監修で改良したモデル、ということでしょうか。やはりC管はこれが一番メジャーなんですかね?とにかくYamahaが推してるモデルだと思います。吹いた感じでは、フィーリングはハーセス管に近いですが、息が取られ過ぎる感じが少なく、比較的吹きやすいと感じます。音が割れる感じもあまりなく、コントロールは悪くない。Yamahaにしてはそこそこしっかりとした抵抗感があるのもいいと思います。普通のXenoよりも少し抵抗感があり、割といい感じ。BachよりやっぱYamahaか…とここで改めて思いますが、サウンドはYamahaらしいな、と感じます。Bachよりもアクが少なく、クリアーな音色。Bachが豚骨ラーメンなら、Yamahaは伝統的な醤油ラーメンといったところ。ここは好みですね。
定番モデルっぽいですし、このモデルで数用意してもらって選定しようかな?という気になる。ただ、YamahaもC管モデルが意外と多いので、他も吹いてみることにしました。
Yamaha YTR8445WS
通称神代(くましろ)モデル。ロータリートランペットに近いベルを使っているのが特徴の楽器です。吹くと真っ先に感じる、ふくよかな中低音。Cより下ぐらいの中音域では、ロータリートランペットを思わせるような、ちょっとフリューゲル入ってるような、温かい音がします。これは吹いていて気持ちいですね。G以上の高音域に入っても、そんなに角が立たない音色で、非常に豊かに響いてくれるな、と感じました。素晴らしい楽器だと思いましたが、ロータリー的な音が出るトランペット、という意味では「だったらロータリー吹けばよくね…?」とも思います。まあそもそも、俺のC管を買うモチベーションが「後ろから埋もれずに音を飛ばす音色」なので、そこは少しコンセプト違いかな、ということで見送り。オケの2番を吹く人とか、周りもピストンだけどロータリー的な音が欲しい、という人にはいいんじゃないかと思いました。
Yamaha YTR8445KMV
現在は生産が終了している、神代モデルの旧型です。第1世代だったか第2世代だったか。現行のWSとは全然違うと感じました。楽器の方向性は同じなんですが、KMVの方が普通のC管に近い。WSのサウンドがピストンとロータリーのハーフなら、こっちはクオーターという感じ。音もこっちのほうが良く通るので、C管の音が通る感じと、中音域の豊かであったかい吹き心地が、かなり魅力的と感じます。ぜんぜん雰囲気は違いますが、Yamahaのシカゴ響モデルといい勝負だと感じました。音のハリを取るか、ふくよかな豊かさを取るか…。悩みますね。
Yamaha YTR9445NYS(-YM)
Yamahaのシカゴモデルと双璧をなす、ニューヨークモデルです。見た目は同じ。何が違うのかはわかりませんが、シカゴモデルと比較して、音が大人しい気がします。ちょっとタイトな吹き心地は、管が少し細かったりするんでしょうか。パンパン明るく鳴らすならシカゴ、明るさの中にしっかりさが欲しければニューヨーク、という感じでしょうか。トランペットのトップを吹くならやっぱりシカゴかな、でも自分は元が明るめだからニューヨークもいいかな、風変りだけど神代モデルも捨てがたい、という感じ。
…でしたが、次に吹いたYMベルのモデルが良かった。吹いた感じで言うと「これはいい楽器ですね…!」。何言ってるのかわかりませんね(笑)ニューヨークモデルのベルが違うモデルらしく、現行ボストン響のトランペットセクションが使用しているモデルでもあります。何が違うかというと、音がよくまとまり、前に飛んでいく感じがする。シカゴほど明るすぎないのに、シカゴみたいに音が飛んでいく感じ。結構理想に近いと思いました。Yamahaで買うならYTR9445NYS-YMかなー、と結論付けたところで、後述のBachとの出会い。
Bach 180L 239/25C
C管の標準モデル?だと思うけど、全然楽器屋でお目にかかれていませんでした。見るのはハーセス管ばかり。そんな中で、初めて見つけたのがゴールドプレート。吹いた瞬間「ああ、Bachのいい音がする」と感じました。これまでたくさん吹いてきたYamahaとは全然違いますね。ぎゅっと詰まった密で豊かなサウンドで、B管よりも明るい音が出ます。自分が持っているB管にフィーリングが近く、持ち替えがしやすいのもいいと思います。慣れた楽器に近いからいいサウンドで吹けるのかな?とも思いますが、そこはよくわかりません。店員さんに聞くとただでさえ入荷量の少ないC管で、しかもゴールドプレートとなるとほとんど店頭に並ばないんじゃないかと言ってました。一期一会感が強くなって、さらに食指が反応してきます。しかし本当に良く鳴る楽器です。もっとも素晴らしいところは、ffやfffでパワフルに息を吹き込んでいったときに、音が割れず、開かず、どんどんリッチになっていくところです。これは金メッキの効果でしょうか。交響曲最終楽章クライマックスで、オーケストラを効果的に盛り上げられるイメージが湧く音が出てくれる、と感じます。個体も結構いいのにであったんじゃないか?と感じますが、他を知らないのでそこは気になるが気にしないことにして。ネックはやはりお値段…それでもシルキーのSPに比べて安い方ですが、高い買い物だし悩む…。1時間ぐらい楽器屋でウンウンと悩んだ結果、思い切って買ってしまいました。
これから
その他、シルキーやストンビも吹いたし、変わったモデルも吹きましたが、どれもピンとこず。最終的には、YTR8445KMVのGP、YTR-9445NYS-YMが候補として残っていましたが、やはりBachの音が好みだった。よく聞く話だが「Yamahaは総じて優秀だが、素晴らしいBachに勝るものはない」はその通りだと思う。やっぱり楽器は出会いだな、うん。
これから、C管もたくさん練習して、秋のオーケストラまでにしっかり慣れておこうと思います。
しかしC管ってどうやって基礎練習するのがいいのかな。まあとりあえずは、オーケストラスタディ中心にさらってみますかね。
追記
ロータリートランペット購入記も書きました!
書いてみたら意外と長編に(笑)
演奏会を終えた感想と、今後の楽団に求めること
演奏会を終えて
色々と詰めた3か月間が終わった。
相変わらず、他の予定をこっちに割いてやっているだけに、終わった後の喪失感が大きいです。
喪失感の大きさは、満足感とも比例するところはあるんだろうけれども。
やっているときは大変だと感じていても、終わってみると楽しい日々だった、ということは往々にしてありますね。
今回はまあ、一曲目のソロがうまく言ったんで良しとしましょう。
トランペット吹きとして、一番重要な仕事をきっちりやったということで。
翌日は有休をとっていたけれども、酔っていたのか終電ぐらいで帰ってしまった。
朝まで飲んでいる人もいなさそうだったしね。
翌日の休みは、なんだか気の抜けた日を過ごしました。
マンガ読んで、テレビ見て。
録音聴いてみたいな、とか考えながら、寝っ転がって過ごしました。
さて、これからは何をしようかな。
多楽器主義
ところで今回の演奏会では、トランペットに加えて、フリューゲルホルン、コルネット、クラリネットと4つの楽器を演奏しました。
トランペットと似た大きさのマウスピースを持つ、フリューゲルとコルネットはいいのだけど、クラリネットはやはり壁が大きかったですね。
3か月ぐらいではあったけど、社会人ながら週に4回ぐらい練習を積んだことで、なかなか吹けるようになったんじゃないかと思う。
やっぱり速指はスムーズにいかないところも多いけど、音は一人前に出せるようになった。
もうちょっとうまくなりたいと思ったら、いろんな調の速指メインのエチュードでもこなせば、1年あればみんなに追いつけるんと違うかな…というところまではきました。
これからも続けるかどうかは、少し悩み中。
やるなら借りていた楽器を返して、自分のを買わなくては。
今回は両方とも一定のレベル以上で演奏できたので、みんなから責められることはなかったけれども、やはり吹奏楽というのはマルチプレイヤーに対して良く思われない環境が根強いように思います。
うちのサークルでは、下記の持ち替えはが頻繁に行われます。
トランペット:フリューゲルホルン、コルネット、ピッコロトランペット
フルート:ピッコロ
サックス族:全部(バリトン以外のことが多い)
全パート:ピアノ、マラカスなどのパーカッション
基本的に「特殊管」との持ち替えは許容とされていて、「曲によってはそのパートがない場合がある」パートが「特殊管」と呼ばれるような感じがします。
なので、ジャズではよく見かける「サックス:フルート」の持ち替えや、マウスピースを同じくする「トロンボーン:ユーフォニアム」の持ち替えなんかはほとんど見ない。
やろうと思えば、「クラリネット:サックス」や「トランペット:ホルン」なんかも問題なくできると思うのに。
特殊管以外の持ち替えは、禁忌というか、はしたないというか、いろんな感情があるのではないかと感じています。
一つには、プレーヤー自身が「本職の調子を崩すのではないか」と心配しているのはあると思います。
それはきっと、崩す人と崩さない人がいるんでしょう。
他には、やはり慣習というか、浮気というか、極めてナンボというか、そんな感じの「ほかの楽器をやるのは何となく歓迎できない空気」みたいなものがあるんじゃないかと思っています。
でも俺は、いろんな楽器をやるのは別に悪いことだとは思わない。
その結果、総合的に見てプラスならやればいい。
誰でもできることだとは思わないけど、やりたいと思う人がどんどんできる環境ができればな、と思う。
そして、今回その皮切りにみんなが自由に考え出してくれれば嬉しいですね。
「トランペット:ホルン」のような許容遷移でなく、「トランペット:クラリネット」という禁制遷移を先陣切ってやって見せたのだから。
みんなが「俺でもできるんじゃね」って思ってくれればな。
「多楽器主義者」ではないけれども、慣習に縛られない、自由な音楽ができることを願います。